BI
2024/12/03
一筆 太郎

Gemini in LookerでBI活用を加速させませんか?おすすめ理由を解説!

データはデータレイクに溜まっている。いやいや、DWHはもちろん、BIまでできている。なのに、全然データを活用してくれない!というお悩みありませんか?

僕はそんな悩みをよく耳にします。どうしたらBIやデータを活用してくれるのか?そういう相談をされるので、ずっと考えて、いろいろと試行錯誤してきました。BIのライセンスを社内に配ったのに使われないから来年度はライセンス更新やめようと思ってるとか、BIを作り直して、社内への教育や啓蒙を含めてデータ活用促進をしてほしいという要望もいただきます。
それにしても、なぜ、BIは活用されないのでしょうか?

BIが浸透しない理由その1:見たくない。めんどくさい

BIのダッシュボードは作成した人にとっては、どのデータソースからデータを抽出してデータ整形して表やグラフを作ったかわかっているいるので、一目でそれがどんなデータをもとに集計されたものかがわかります。


が、そのプロセスを経ていない人から見ると、それは謎の表やグラフ。 たとえ、見慣れた売上の集計データだとしても、エクセルと少しデータ項目や名前が違っているだけで別物に見えてしまいますし、ストレスがかかります。


なんだこれは? この表やグラフは何を意味してるの? この数字は何?

表やグラフの作成者ではなく、初見の人からは、こんな言葉が出てくるのではないでしょうか。


僕もBIをこれまで作ってきて、必ず言われることの一つです。

パッと見てわからないものは、めんどくさい。 見たくない。

そんな心理が働いているように思えます。

BIが浸透しない理由その2:これは何を意味してる?だから、なんなんだ?に答えられない

下のグラフは、サンプルデータで作成した、月次売上とSNSフォロワー数の推移です。 月次売上とSNSフォロワー数の推移と言われればそうなのかとまずは理解できるでしょう。

その次に出てくるのは、で、これは何を意味してるの? じゃないでしょうか。



月次売上とSNSフォロワー数の推移グラフ

サンプルデータをもとに生成AIで作ったサンプル



売上が上がるほどにフォロワー数も伸びています。 パッと見るとそんなことは簡単にわかりそうです。 でも、それだけでは、だからなんなんだ? と言われそうです。 これを生成AIに分析させてみると、こんな答えが返ってきます。



  1. 全体的なトレンド

    ・売上とフォロワー数は共に右肩上がりの成長を示しています

    ・1年間で売上は2,100万円から5,800万円まで約2.8倍に増加

    ・フォロワー数は5,000人から15,000人まで3倍に増加

  2. 成長率の特徴

    ・売上の月平均成長率:約10%

    ・フォロワー数の月平均成長率:約11%

    ・両者とも比較的安定した成長カーブを描いており、急激な変動は見られません

  3. 季節性・時期による特徴

    ・夏季(7-8月)に両指標とも伸びが加速

    ・年末(11-12月)にかけても顕著な伸びを示している

    ・2月から3月にかけて売上の伸びが大きい

  4. 相関関係

    ・売上とフォロワー数には明確な正の相関関係が見られます

    ・フォロワー数の増加が売上の増加に先行している可能性があります

    ・特に5月以降、両者の増加パターンが似通っています

  5. ビジネスインサイト

    ・SNSマーケティングが売上に良い影響を与えている可能性が高い

    ・フォロワー1人あたりの売上貢献度は年間を通じて比較的安定している

    ・施策の効果が持続的で、一時的な落ち込みが少ない健全な成長と言える

  6. 今後の提案

    ・夏季と年末の成功要因を分析し、他の時期にも応用することを検討

    ・フォロワー数と売上の相関関係を維持するため、フォロワーエンゲージメントの質を保つ施策の継続

    ・特に伸びが大きかった時期のマーケティング施策を詳細分析し、 ベストプラクティスとして確立


ここまでグラフから情報が出てくると、たとえば、フォロワー数の増加が売上の増加に先行している可能性がありますという内容から、SNSのフォロワーを増やすことと売上の相関が見られるため、フォロワー獲得への投資してもいいんじゃないかという仮説が立てられそうです。


また、夏季(7-8月)に両指標とも伸びが加速、年末(11-12月)にかけても顕著な伸びを示しているという内容から、夏をターゲットにフォロワーを増やす活動をすべき、とかインフルエンサーを活用したマーケティングを夏か年末に打ってもいいんじゃないかなどという仮説も立てられそうです。


このグラフは何を意味してる? だから、何が言えるの? で、どうしたらいいの? は、まず、生成AIに聞こう


上記のグラフと生成AIによる分析でお分かりの通り、グラフの解説や分析は生成AIがしてくれます。 ただし、正しいとは限りません。 きちんとそれが正しいことを言っているのか、分析内容からどういうアクションを実際にすべきかは人の判断が必要になります。 が、上記に出したくらいの分析があるととても楽になります。


逆に言えば、生成AIを使わずに、グラフの意味や、だから、何?に答えられないとBIの価値も低くなり、活用につながりにくいと言えるでしょう。

BIが浸透しない理由その3:欲しいデータじゃない

従業員数推移グラフ


これは従業員数の推移を時系列で表したグラフです。


しかし、頼んだ人は「人員計画の進捗を教えて」と伝えていたとします。

グラフを作成した人は、人員計画の進捗はこれでわかるのではないかと思って作成したとしても、依頼者にとっては、「欲しいデータじゃない」になるのではないでしょうか。


欲しかったのは、たとえばこんなグラフ。


人員計画進捗状況(年間)グラフ


データを作成してくれた人は、社内ではデータの扱いに長けた人だったかもしれませんし、依頼した人はグラフのイメージがわかないまま依頼していたかもしれません。 どちらにせよ、欲しかったグラフを思いのままに作成してもらうのは一苦労です。


欲しいグラフを作ってもらうための適切なディレクションをするのは意外と難しいものです。


欲しいデータがない。 これもデータ活用促進の阻害要因と言えます。

理由まとめ:見たくない。めんどくさい。これは、何?だから、何?に答えられない。欲しいデータじゃない。この3つが大きな理由なのではないかと思います。

さて、前置きがだいぶ長くなってしまいましたが、そんなBI活用の課題を解決してくれるのが、Gemini in Lookerです。 Gemini in Lookerは、すごく簡単にいうと、Gemini=LLMがLooker=BIに入ったよ。 というものです。 雑すぎるので、もう少し具体的に。


Gemini in Lookerは、Google Cloudが提供するBIツール「Looker」に統合された生成AI機能です。 この機能により、ユーザーは自然言語を用いてデータと対話し、インサイトを迅速に得ることが可能となります。


主な特徴は以下の通りです:



  • 会話型分析(Conversational Analytics): 自然言語でデータに質問し、即座に回答やビジュアライゼーションを取得できます。

  • LookMLアシスタント: 自然言語のプロンプトからLookMLコードを自動生成し、データモデリングを支援します。

  • ビジュアライゼーションアシスタント: ビジュアライゼーションのカスタマイズを自然言語で行い、JSONコードを生成して視覚化を調整します。

  • スライド自動生成: Looker StudioのレポートをGoogleスライドにエクスポートし、データの要約や視覚化を含むプレゼンテーションを自動作成します。 ソフトバンク これらの機能により、データ分析やレポート作成の効率が向上し、より直感的なデータ活用が可能となります。


僕がこのGemini in Lookerをおすすめする理由は、二つあります。

Gemini in Lookerをおすすめする理由その1:自然言語でグラフをつくれること

一つは、会話型分析(Looker Explorer Assistant)で、ユーザーが自然言語でデータにアクセスし、分析を行うことを可能にするものです。 上記の例で挙げた「人員計画の進捗を教えて」と言語で入力すればグラフが自動生成されるようになります。


ただ、このLLMでグラフ生成するということであれば、他のツールでも実現することが可能です。 AmazonQとQuicksiteの組み合わせやCopilotとPowerBI、Databricks単体でも実現できます。


AmazonQ、PowerBI、Gemini in Looker比較表


これは少し前になりますが、僕らで比較したときの表です。 機能面で言えば、どれも備わっていますし、時間が経てばさらに機能も充実していくでしょう。


僕がGemini in Lookerがいいなと思うのは、もう一つの理由が非常に重要になります。

Gemini in Lookerをおすすめする理由その2:LookMLがセマンティックレイヤーとして正しいデータを取得する辞書として機能すること

それは、LookMLによる辞書機能です。


LookMLによる辞書機能


Gemini in Lookerのアーキテクチャは上記のようになっています。 まず、プロンプトをGCPへ連携し、Geminiを利用してロジックを作成しURLを返答。 作成されたURLはBQのデータベース参照と集計の定義がされます。


このアーキテクチャの中で重要な役割を果たすのがLookMLです。 LookMLはセマンティックレイヤーとなり、正しいデータを取得する辞書としての機能を実現します。


生成AIでBIのグラフの課題と対処方法の図


これは生成AIでBIのグラフを作成しようとした時によくある課題と対処方法の図です。


たとえば、売上のデータを呼び出して時系列グラフを作成させようとした場合、データマートの中に売上に関するカラムがいくつも存在したとします。 店舗A売上、店舗B売上、EC売上、物販売上などなどと売上に関するデータがいくつも存在した場合、欲しいデータやグラフにするためには適切に定義する必要があります。 それを実現してくれるのが、LookMLなのです。


データ活用が進まない理由その3として挙げた欲しいデータじゃない。 これは売上のようにシビアな数字になるほどに正確性が求められます。 欲しいデータは、正確な数字です。 税抜税込、締日がいつなのか、為替影響のある数字かなどなど、定義がとても重要になります。 これをクリアするために、LookMLが役立つのです。


企業のデータ活用推進は、簡単なことではありません。

が、もし、データが活用できる状態にあるのであれば、ぜひGemini in Lookerの導入を検討してみてはいかがでしょうか? 見たいデータを言葉で出すことができますし、だから何? のヒントだってもらえます。 精度の面では課題はまだまだありますが、精度が高く出るデータの活用から始めるなどすることで、データ活用促進の一歩に大きく貢献すると思います。


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