データの利活用|ビジネスでデータ分析から利益を生み出す仕組み

『データ分析をしているのに利益に繋がらない』方は、データの利活用が出来ていないかもしれません。データの利活用とは、ビジネスの利益に繋がるようにデータを活用することを指します。今回は、データの利活用について解説していきます。
目次
『データ活用』が目的になっていませんか?
近年、大企業だけではなく中小企業でもDX化が進み、蓄積したデータを統合、活用してビジネス拡大に利用する流れが盛んになっています。しかしながら、日本の企業ではデータ分析をビジネスに十分活かしている企業が少ない印象があります。
この理由としては、安価なクラウドサービス導入やペーパーレス化により、『取り敢えず溜めてきたデータが勿体ないから、ビジネスに使える示唆を得たい』という側面が大きいです。
ビジネスにおいて利益を出すという目的で集められたデータではなく、無作為で運用しやすいデータのみが手元にあり、利益をあげるための活用、つまり利活用ができないというのが現状です。
データを利活用するには、利益向上という目的で収集したデータを分析してアクションに繋げる組織・体制が不可欠となります。
残念ながら、目的なく収集した不十分なデータをいくらデータ活用しても、思うような成果に結びつくことは少ないでしょう。
データ利活用の4STEP
データの利活用とは「ビジネス課題を解決するため、収集・統合されたデータを分析し、得られた示唆を意思決定に活用すること」を指します。
これを4つのステップに分けると以下の様になります。
STEP1: 課題設定
STEP2: データ収集・統合
STEP3: データ分析
STEP4: 結果活用
各ステップの目的を簡潔に言い表すと、
STEP1: 課題設定
解決すべき課題を決める
STEP2 : データ収集・統合
課題解決に必要なデータを集める
STEP3: データ分析
集めたデータから示唆を得る
STEP4:結果活用
得られた示唆を課題の解決に活かす
この様になります。
手元にあるデータのみで行う場合、STEP3とSTEP4のみ行うことになります。
これは、STEP1で決定するはずの目的や、STEP2で集まるはずの十分なデータがない状態でのデータ活用となります。
ですので、新しい発見がなかったり、途中で上手く行かなくなるデータ分析となってしまう事が分かるかと思います。
それでは各STEPについて説明していきます。
STEP1:課題設定
データ分析が上手くいかないケースの多くは、この課題設定を適切に行っていない、またはそもそもしていない事が多いです。
課題設定で決めるべき課題とは、それを解決したら売上アップ、またはコストダウンが見込める事です。そのためには何がキードライバーとなっているのかを見定めて、適切に課題を決める事が必要です。
そのためには、データによって明らかにしたい物事のうち売上に繋がることは何であるのかマーケティングの視点で考える必要があるでしょう。
このステップが最も大切であり、ここで決めた課題が、ビジネスの利益拡大に繋がるものでないと、これ以降のSTEPは無意味なものになってしまいます。
STEP2:データ収集・統合
解決すべき課題が決定したら、次は必要なデータを集める段階です。
しかしながら収集したデータがそのままデータ分析に使えることはほとんどありません。なぜなら、様々なシステムや運用方法で入力されたデータはデータ形式や項目が異なるためです。
そこで、データを収集し、さらに統一したデータ形式に統合する「データ統合基盤」が必要となります。
データ統合基盤とは、主にデータの収集・統合・活用を目的としたシステムのことです。データを収集するデータベースとデータレイク、データを統合するデータウェアハウスとデータマート、データ活用をする分析ツールから成ります。
収集するデータは、設定した課題に依存しますが、よくあるのは顧客データ、POSデータ、Webアクセスデータなどがあります。
しかしここで注意点があります。それは、収集したデータの個人情報保護とプライバシーガバナンスです。
セキュリティーやプライバシーなどの観点からデータ利活用を制限する動きが高まっています。経済産業省と総務省が2020年に策定した『DX時代における企業のプライバシーガバナンスガイドブックhttps://www.meti.go.jp/press/2020/08/20200828012/20200828012.html』では、経営者が取り組むべき3要件を
①プライバシーガバナンスに係る姿勢の明文化
②プライバシー保護責任者の指名
③プライバシーへの取り組みに対するリソースの投入
としています。
特に顧客データを分析する場合、データの取り扱いには細心の注意を払う必要があります。仮に、個人が特定出来てしまうデータが流失してしまったり、企業側が不正利用している事が明るみになると、企業の信用は一気に失われ経営にも影響します。
また、データセキュリティーに関してはこの記事で紹介しているので興味がある方はご覧ください。
https://blog.since2020.jp/datasecurity-datasecurity1/
STEP3:データ分析
必要なデータが集まったら、次はデータ分析です。
データ分析には、様々な手法や統計解析が存在しますが、最も重要なことは「課題解決に繋がる示唆が得られること」です。
つまりデータ分析により、「どの様な統計的事実が判明し、それをどのように解釈ができて、どれほど課題解決に役立つ」のかが大切です。
データ分析での統計学的な分析手法とは、あくまでも手段に過ぎないことに注意が必要と成ります。
どれほど複雑で高度な統計的な分析も、データの利活用という観点では重要ではありません。
データ分析の結果こそが重要なのであり、それが得られるのであればどんな分析でも問題ないことに留意しましょう。
一方で、統計学を学んでいるとデータ分析をするための武器が増え、様々な視点で分析したり誤差を考慮した分析をしたりする事が可能となります。
また、データ分析に機械学習を導入することで、未来の数値を予測するモデルを構築したり、特徴ごとにデータを分類したりすることが可能となります。
ですので、データ分析の本質は、課題解決に繋がる示唆が得られることと理解した上で、様々な統計学や機械学習の手法を取り入れるのが良いでしょう。
データ分析に関する記事はこちらから読むことが出来るので、興味がある方はお読みください!
STEP4:結果活用
データ分析が完了して有用な示唆が得られたら、その結果を活用する段階です。
データの分析結果をビジネスに活用するには、分析結果を基に組織として意思決定をし、各部署が実行する必要があります。
ここで課題となるのが、KKDによる意思決定慣習と各部署の利害相反です。
まずKDD(勘・経験・度胸)の意思決定体制は、データの利活用を妨げる要因の一つです。
KDDとは勘・経験・度胸の頭文字を取ったもので、意思決定で勘・経験・度胸を重視する事を意味します。
これらは、データ分析が広まる以前では主流な意思決定方法でした。
確かに、過去の経験に裏付けられた考えや発想は、過去と同じ条件であれば成功再現率も高いです。
しかしながら、VUCA時代と称されるように、状況変化が激しかったり前例のない事が起こりやすくなり、過去の成功例が現在上手くいくとは限りません。
また、過去の成功によって発想や物の見方にバイアスが掛かり、ビジネス上重要な変化を見逃すことにも繋がります。
データの利活用をするには、KDDでの意思決定ではなく、データによる意思決定を行わなければなりません。
また、各部署の利害相反ですが、これもデータドリブンな意思決定が出来ないことに起因します。
データに基づいてある施策を実行しようとすると、会社全体としては売上が向上するものの、損をする部署が存在する事があります。
このような状態だと、データの分析結果を最大限活かすことは難しいです。
この場合、データドリブンな意思決定を強要することは、逆効果である場合があるので、部署の評価方法をプロセス重視に変更したり、組織体制を変化させるなどの対策が必要となります。
データの利活用は組織の総力戦
データ活用が失敗する原因の多くは、データ分析人材が足りないことではありません。
ビジネスの利益に繋がるような課題設定が出来ていなかったり、十分なデータが集められないことが原因であるケースが多いです。
また、分析結果を実行に移す段階に課題がある場合も多いです。
このように、『データ活用』を『データの利活用』にするには、会社全体がデータの利活用に向けて変化し進まなければなりません。
しかしながら、データを利活用する仕組みが出来れば、戦略的な強みとなり競合企業への差別化にも繋がります。
もしもデータの利活用に関してお困り事がありましたら、一度弊社にご相談下さい。
データの利活用によって事業が確実に成長することを目指し、現場が動きやすく、経営が加速する状態をつくるために全力で各種サポートさせていただきます。