「キャズム理論」とは?ハイテクマーケティングでは「キャズム」を超える方法が重要
新しい商品やサービスを開発した際に上手く普及し、ブームとなるかがとても気になるでしょう。たとえある一定の所までは受け入れられたとしても、そこからどれだけブレークするのかも重要なことです。
そうした際に大切とされるのが「キャズム理論」です。「キャズム」を超えることで、市場に新商品やサービスを浸透させることができると言われています。今日は「キャズム理論」を図解しながら、ハイテク商品のマーケティングについてご紹介していきます。
目次
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導入 「キャズム理論」とは?「イノベーター理論」が前提の「キャズム理論」
「キャズム理論」は、フリー・ムーアの著書『キャズム』で1911年に提唱されたハイテクマーケティングについての理論です。「キャズム」という市場の深い溝を超えることによって、製品やサービスが広く普及することを説いたものです。
「キャズム理論」を考える上では、「イノベーター理論」というものが前提となりますので、まず知っておくといいでしょう。
「イノベーション理論」では、新しい概念や物「イノベーション」が普及していくには5段階のユーザー層があるとしています。
・イノベーター(テクノロジーマニア、革新的採用者)全体の2.5%
・アーリーアダプター(ビジョナリー、初期少数採用者)13.5%
・アーリーマジョリティ(実利主義者、初期少数採用者)34%
・レイトマジョリティ(保守派、後期多数採用者)34%
・ラガード(懐疑派、伝統主義者)16%
「イノベーター」は、新しいテクノジーに関心を持つ層で、新商品を真っ先に手にしようとする少数層です。「アーリーアダプター」は、イノベーターよりも現実的ですが、新しいテクノロジーが自社に合っているかなどを検討しながら自らのリスクで新たなテクノロジーを早めに採用していきます。
そして「アーリーマジョリティ」は、実利主義者で着実な成果が図れるもの、信頼性のあるものを求める多数層です。先行事例などを参照することが多く、マーケットリーダーとなっている製品やサービスを購入するのが特徴です。
「レイトマジョリティ」は、どちらかというとこれまでの慣習を重んじて以前のものを使い続けたがる層で、こちらも多くの割合を占めます。
そして、「ラガード」は、懐疑的でハイテク市場には介入しない層となっています。
この「イノベーター理論」では「イノベーター」と「アーリーアダプター」を初期市場とし、「アーリーマジョリティ」から「ラガード」を人数が多いメインストリーム市場としています。
そして、その間に「キャズム」という深い溝があるとするのが「キャズム理論」です。
課題 なぜ「キャズム」の溝が発生するのか?
「キャズム理論」を考えるにあたっては、初期市場とメインストリーム市場の「キャズム」という深い溝を超えることが重要となっています。
なぜ「キャズム」が発生するのかをまず考えると、それぞれの市場ではユーザーの価値観が大きく異なります。
初期市場のユーザーは、新しいものやトレンドになるもの、自分の価値観に合うものなどを欲します。一方メインストリーム市場のユーザーは、成果が実際にあるもの、信頼性のあるものを求めます。
他の人にも受けられ評価されている安心感が大事となるでしょう。
つまり、新しいもの、革新的なものを求める初期市場と、信頼性を欲するメインストリーム市場では、異なる価値観を提供しなければこの壁を超えることはできません。
異なる価値観を提供できなければ、大きな市場にならない可能性が高いでしょう。
解決 「キャズム」を超える方法を考えることが重要!
つまり、新しい商品やサービスを普及し、浸透させるには、「キャズム」を超える方法が大事です。
例えば、「アーリーマジョリティ」以降の層は、「イノベーター」や「アーリーアダプター」と比べると先端技術にあまり興味がなく使いこなせないことも多くなります。その層でも使えるもの、満足感が得られるものを提供することが大事です。しっかり顧客調査を行い、操作性、ユーザビリティを最適化にすることが重要と言えるでしょう。
また、新しい商品やサービスの品質を保証し、信用を与えるようなコンテンツ作りも重要です。例えば大きな影響を与えるような企業に新商品を導入してもらう方法なども効果的です。信頼性のある導入例を掲げることで、評価を早く勝ち得るといいでしょう。
また、大規模なCMによって、知名度を急速に上げるのも一つの方法です。誰もが広く知っているという信用性も「アーリーマジョリティ」以降の層にはとても効果的です。
実績を出し、具体的な数字をアピールし、購入リスクを抑えることがこの層に訴求するにはとてもいい方法でしょう。
また、すぐに広い市場を狙えない場合は、まずは狭い市場でシェアを拡大し、信頼性を高める方法もおすすめです。時間と共に確実に市場を広げていき、「キャズム」を超えていく方法も可能です。
結論 「キャズム」を超えるためには戦略を練りたい
新しい商品やサービスを市場に普及し浸透させるには、「キャズム」を超えることが大事だと言えます。初期市場とメインストリーム市場には溝「キャズム」があり、異なる価値観を提供しなければ広く普及していきません。
新しい商品やサービスに飛びつく人はいますが、それを広い層に広げるには時間が掛かります。早くモデルとなるようなインパクトの強い導入例を紹介するか、一気にCMを展開して信頼を得る戦略は効果的でしょう。
新しいものに興味を示す「アーリーマジョリティ」を大事に、多少技術や知識がなくても使える満足感のあるものを提供することも一つの方法です。いかに「キャズム」を超えるかを努力することがハイテクマーケティングでは重要と言えます。