中途社員を教育してパフォーマンス向上と定着を図るためには?
終身雇用の時代は遠い昔、今は自分の能力にあった職場へ転職するのも、それを積極的に受け入れる企業も当たり前の時代になっています。人材が流動化する中で、中途社員に「いかにしてパフォーマンスを上げてもらうか?」ということが、課題として表面化しています。どんな人でも新しい会社に入ることはストレスを感じるものです。中途社員のストレスや不安を解消し、パフォーマンスを最大化させるために、企業側ができることとはどのようなものなのでしょうか?企業が直面している課題とその解決策について解説します。
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導入 中途社員の教育を怠ると早期退職につながる
国内外でのビジネス競争が激しくなる中、企業は人員不足を補うため、業績を向上させるため、持続的な発展を遂げるために、即戦力となる中途社員の採用に力を入れています。専門的なスキルや経験、新たな視点などを与えてくれる中途社員に対して、企業は多くの期待を持っています。同時に、中途入社する人材は、期待に応えなくてはならないというプレッシャーや新天地での適応などに対して不安を抱いているものです。
一説には転職のストレスは、親族の死や離婚、自身の病気やケガなどと同程度であるともいわれています。企業は不安やストレスを抱えている中途社員に対して、入社後に最大限のパフォーマンスを発揮できるような環境を与えなくてはいけません。
企業側が準備を怠ると、中途社員の早期退職につながる可能性が高まります。そうならないために、人事や現場担当者はどのような取り組みを行えばいいのでしょうか?
課題 パフォーマンスが発揮できない理由とは?
企業は採用時に、入社する人材のスキルや経験、人間性などに対して、ある程度把握できているでしょう。ただし能力に問題がない場合でも、中途社員が入社後に思うようにパフォーマンスを発揮できないケースがあります。具体的な課題を見ていきましょう。
●サポート不足による孤立
新しい職場では、業務内容の違いや新しいメンバーとの付き合い方、仕事の進め方への戸惑いなど、日々ストレスを感じるものです。中途社員の場合、すぐに成果を出さなければという気負いもあることから、独力で問題を解決しようとしがちです。このときに周りのサポート体制が整っていないと、職場で孤立してしまう恐れがあります。
●企業理念や事業内容の理解不足
中途採用者は、自身のスキルや経験を通して成果を上げることを期待されている側面もありますが、同時に新たな価値観や視点、ビジョンなどを既存社員や会社に与えることも期待されています。そのときに、企業理念や事業内容・方向性について、会社側と中途社員の間で食い違いがあると両者のミスマッチが起こります。入社前にある程度の共通認識は持てますが、入社後に現場社員とのコミュニケーションを通じて、より明確に認識を共有することが大切です。
●ルールや不文律への対応不足
会社の方向性やビジョンに加えて、企業、部署・チーム、一緒に働く人の中にも、独自のルールや目的があります。仕事の進め方やキーパーソンへの接し方などの不文律がある場合もあります。そうした独自の文化や約束事について、理解が浅いと、思わぬトラブルや軋轢を生むことになります。
解決 中途採用後に企業が取るべき施策
中途社員が不安やストレスを抱えることなく、最大限のパフォーマンスを発揮できるようにするための具体的な施策を紹介します。
●面談やMTGを開催して職場に馴染んでもらう
入社から3ヵ月目までは、職場や仕事への適応期間です。会社の風土や事業内容、仕事の進め方に慣れてもらう期間です。定期的な面談やチームでコミュニケーションを図るようなミーティングをセッティングして、職場に馴染んでもらいましょう。
●課題の早期共有(役割の認識)
中途採用者は、業務や会社のルールなど、仕事を進めていく上で大小さまざまな課題にぶつかるでしょう。そのときに、チーム内で課題を共有しアドバイスをするなど、解決策を提案してあげることも大切です。今までのスキルや経験だけでは対応できない問題に対して、先輩や上司が手を差し伸べることも重要です。同時に、中途社員の役割や期待していることを明確に伝え、本人にも自覚してもらうようにしましょう。また仕事を進めていくときに、進捗や業務内容についてこまめに確認することで、ミスを減らし、不安も解消できるようになるでしょう。
●組織・ルールに慣れてもらう
社風やルールというものは、働いてみないとわからないものです。最初の数か月は、そうしたものに慣れてもらうようにしましょう。これはスキルや経験とは違う能力なので、習うより慣れるしかないともいえるでしょう。
●既存従業員との交流
業務に直接関わることだけでなく、会社のルールや慣習などを教えられるような仕組みや場を設けることが大切です。また悩みを相談できるような窓口・担当者などを作ることも、中途採用者の不安解消につながります。研修や既存従業員との懇親会などコミュニケーション促進を図る機会を設けるのも一手でしょう。
結論 オンボーディングによって組織に馴染んでもらう
新たな人材が入社した際には、職場に馴染んでもらうための各種施策である「オンボーディング」に注力するといいでしょう。
仕事を覚えるためのオリエンテーションの場を設けたり、業界や社内のルールを共有する機会を作ったり、相談相手となるメンターをつけるのも効果的です。
会社の目標や事業内容を共有することで、中途社員のモチベーションアップも期待できます。チーム内のコミュニケーション促進を図るだけでなく、他部署との交流や、役員と話す機会を設けることも大切です。
実際にプロジェクトに参画し始めたら、定期的な面談を実施するなどして、課題や進捗を確認しながら、不安やストレスを感じていないか、スキルや役割の不一致は起きていないかなども注視しましょう。
さまざまなオンボーディングを行うことで、人材の定着が図れ、中長期的なパフォーマンスの向上にもつながるでしょう。