用語集
2021/07/07
SiNCE 編集部

利益率を改善・向上させるための4つのポイントとは?

経営者であれば、いかにして利益を上げていくかは至上命題の一つです。業績が好調といっても実は利益率が低いというのでは、継続的な企業の発展は見込めません。利益率を上げるためには売上アップとコストダウンは必須です。具体的には販売数のアップや単価のアップ、売上原価のダウン、固定費のダウンなどの施策が有効です。ここでは、利益率の基本から利益率の向上を図る施策までを解説します。業種や部門を問わず、利益率を改善させるポイントを取り上げるのでぜひ参考にしてみてください。

導入 利益率とは何か?利益率の一般的な計算方法を解説

利益率とは売上高に対する利益の割合を指します。

会社の利益には経常利益や粗利益などいくつか種類がありますが、企業の財務分析などでよく使われるのは営業利益です。

営業利益は企業が本業で稼いだ利益を指すからです。たとえば本業がIT分野でも、不動産の賃料や株式投資などで得た収入を利益に入れると、本業での収益の実態が見えにくくなります。

ちなみに、このように本業以外の事業からの利益も含めたものは経常利益といいます。

本業の儲けの割合を表す「営業利益率(正確には売上高営業利益率)」は次式で求めることができます。

<営業利益率>
営業利益率=営業利益÷売上高×100
(営業利益=売上高−売上原価−販売管理費及び一般管理費)

ここで、販売管理費とは広告宣伝費などが、一般管理費は間接部門の人件費、減価償却費、交際費、旅費交通費などが含まれます。

課題 利益率を下げる要因とは?

いくら売上高が良くても利益率が低くては健全な企業運営ではないと言わざるを得ません。

先に紹介した営業利益(率)の式を見れば、利益率の低下を招く要因が見えてきます。

営業利益率は「営業利益÷売上高×100」なので、分子の営業利益が低下すれば利益率も下がります。営業利益は「売上高−売上原価−販売管理費及び一般管理費」で求められるので、営業利益率を下げる要因は次の3つに集約できます。

<営業利益率を下げる要因>
①売上高の低下
②売上原価の増加
③販売管理費及び一般管理費の増加

端的に言えば、売上高が下がりコストが上がれば利益は落ちます。製品やサービスを製造する段階で原材料価格や仕入れ値が上がれば利益が削られ、人件費が余計にかかれば同様に利益が下がります。

換言すれば、この①から③の要因を解決すれば利益率の改善が図れるということです。次項以降で解決策を解説していきます。

解決 利益率を向上させる4つのポイント

利益率、特に本業の儲けを示す営業利益率を向上させるには次の4つのポイントに注力する必要があります。

●販売数アップ
製品やサービスについて開発や製造工程の基本的な改善よりも、まずは販売数をアップさせることが先決です。現在取り扱っている商材をより多く売ることで売上高アップが実現できます。数を多く売るのはもちろんですが、「顧客単価を上げる」「新規顧客を開拓する」なども効果的です。顧客単価を上げるためにはアップセル(現状のモデルよりも上位の高額商品を売る)やクロスセル(現状の商品とは別の商品をセットで売る)につなげるのがポイントです。新規顧客の開拓にはマーケティングツールの活用で、潜在顧客を見つけ購買につなげる施策を打つことが大切です。

●販売単価アップ
販売単価を上げることも重要ですが、既存商品の値上げはユーザーの批判を招きます。また近年主流になりつつあるサブスクリプションの価格を中途で上げることは、手間もかかり、既存顧客に対する不信感も招きます。販売単価を上げる際には顧客離れを起こさないような、タイミングや価格設定が肝になります。

●売上原価ダウン
売上原価とは仕入れや製造でかかった費用のことです。仕入れ先を変えたり、製造するための外注費を削減することでコストダウンにつなげられます。またソフトウェア販売などでは、代理店販売から直販にかえることでも中間マージンの削減につなげられます。ただし販売力の弱いベンチャーやスタートアップ企業は、販売チャネルが限られている場合もあるので、こちらも先の「販売単価アップ」同様に、バランスが重要です。

●固定費ダウン
主な固定費には人件費や家賃などがあります。人件費を削減するためには業務効率化が必須です。業務の自動化やクラウドソフトの導入などITツールの活用は不可欠です。また業務フローを見直すために現状の業務の見直しと改善を推進するのも効果的です。無駄な業務を減らせば人件費も抑えられます。近年はコロナ禍や働き方改革によってテレワークや在宅ワークが急速に普及しています。それに伴いオフィスの削減も進んでいます。現状の賃料が高すぎる場合はオフィスの解約やフロアの削減なども視野に入れてもいいかもしれません。

結論 プロジェクト管理とITツールの導入が重要

利益率を上げるためには売上を上げるかコストを下げるかです。

具体的には、「販売数アップ」「販売単価アップ」「売上原価ダウン」「固定費ダウン」です。

このうち、販売数アップや固定費ダウンについては、ITツールの利活用で対応できる部分が多いでしょう。

マーケティング部門や営業部門についてはSFAやCRMなどを活用すると効果を出しやすいでしょう。

またテレワークの導入に際してもクラウドツールによって利便性や効率性の改善が見込めます。

製造やITなど業種を問わず、進行中のプロジェクトを適切に管理することも重要になります。

原価、人員、進捗、品質をガントチャートなどを活用して、直感的に把握することで効率的な管理が実現します。

最近はプロジェクト管理についてもクラウド版をはじめ多機能なITツールが多数提供されています。

業務改善やコスト削減と同時にITの活用を進めながら利益率の向上を目指しましょう。

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