インナーブランディングとは?成功させる3つのポイント
組織運営で重要なのは一体感ですが、組織やチームをまとめるのは経営者や管理職にとっての悩みの種です。そんな時に活用したいのがインナーブランディングという考え方です。企業のブランディングの中でも社員に向かってブランディング施策を行うものです。インナーブランディングが成功すると、社員は今以上に会社やブランドに愛着を持つようになります。今回の記事ではインナーブランディングの意味や効果、メリット・デメリットを整理して紹介します。またインナーブランディングを成功させるポイントについても解説します。
目次
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導入 インナーブランディングとは?アウターブランディングとの違い
インナーブランディングとは、企業が自社の社員に向けて行うブランディングのことです。ブランドの価値や企業のビジョンを社員に理解・共感してもらう一連の施策のことを指します。インターナルブランディングともいいます。
一方、アウターブランディング(エクスターナルブランディング)は、社外の関係者である、株主、取引先、顧客、採用候補者、地域社会に向けてブランドを浸透させることです。
インナーブランディングとアウターブランディングには、対象者以外にも下記のような違いがあります。
・伝える内容
インナーブランディング:企業理念、ビジョン
アウターブランディング:ブランド価値(実利価値、感性価値、共鳴価値、情緒価値)
・伝え方
インナーブランディング:社内報やグループウェア、社内向けのSNS
アウターブランディング:マスメディア、広告、プレスリリース、SNS、新商品発表会
・目標
インナーブランディング:理念や価値観の共有
アウターブランディング:製品・サービスの顧客拡大、売上拡大、資金調達、人材確保
課題 インナーブランディングのメリット・デメリットとは?
インナーブランディングを推進するメリットには何があるのでしょうか。同時にデメリットについても考えてみましょう。
●メリット
企業の理念や価値観を共有し、共感することで、会社やブランドへの愛着がわきます。その結果やる気がアップし、企業への忠誠心も向上。離職率低下も期待できます。やる気や満足度が上がることで、仕事の能率や生産性向上に寄与するので、ひいては企業業績にも好影響を与えます。
また自社への愛着や誇りが増すことで、社外へも積極的な情報発信を行うようになります。ブランドの価値や企業価値など自社にとってのプラスイメージを、社員自身がSNSなどのツールを使って発信することで、アウターブランディングの推進にもつながります。
●デメリット
反対に、インナーブランディングにはコストや時間がかかるというデメリットがあります。ブランディングを行う際にはインナーブランディング、アウターブランディングを問わず、最初に明確なブランド価値やステートメント、方針を固める必要があります。その際に内部の関係者との議論を重ねたり、外部からコンサルを招いたりします。そしてメッセージや理念が固まった後は、社内のコミュニケーションツールや、研修、ミーティングなどで周知、浸透を図ります。また若手からベテランまで、価値観を統一するためには相応の教育期間がかかります。
さらに、価値観が共有できない、行動規範から逸脱するなど、インナーブランディングの施策を進めていく上で離脱してしまう社員も出てきます。そうした社員を排除することは多様性が重んじられる現代にあっては組織運営上のデメリットになります。
解決 インナーブランディングを進める上で重要な3つのポイント
インナーブランディングを行う際には「策定」「浸透」「検証」の3ステップがポイントになります。それぞれについて解説していきましょう。
●策定
企業側が社員にどのような理念や行動規範を浸透させるかがファーストステップになります。そのときにヒントになる考え方がドラッカーが提唱した「ミッション・ビジョン・バリュー」です。ミッションとは企業が果たす使命や目的、ビジョンはミッションを達成した先に広がる理想像、バリューとは社員にとっての行動基準のことです。この3つを新たに策定するか、現状のものを見直すことから始めましょう。
●浸透
社内に理念や価値観(=ミッション・ビジョン・バリュー)を浸透させるには、社内報や社内SNS、グループウェアなどを活用しましょう。またポスターや冊子などで周知徹底させることも大切です。プロジェクトチームが率先して啓蒙活動をしたり、社内のキーパーソンを巻き込む施策を取り入れるのも有効です。
●検証
理念が定着し、インナーブランディングが浸透しているかの検証も重要です。たとえば従業員満足度やエンゲージメントなどに関する社内アンケートを実施したり、ブランド理解についての調査を行うのも効果的です。理解度や浸透がいまいちであれば施策を見直したりプロジェクトチームのメンバーを入れ替えたりするなど、てこ入れが必要になります。また社内への浸透や普及に貢献した人に対する評価や表彰を行うことも、社員にとってのモチベーションにつながります。
結論 インナーブランディングによってブランド価値向上を目指す
インナーブランディングとは社員向けに行うブランディング施策です。株主や消費者に行うアウターブランディングとは、メッセージ内容や目的が異なります。社員にインナーブランディングを実施すると、会社に対する愛着がわいたり、モチベーションがアップしたりするので定着率の向上につながります。また日々の業務において指針が明確になるので、会社全体の統一感も保てます。
インナーブランディングを成功させるためには、明確なミッション(使命)・ビジョン(理想像)・バリュー(行動基準)を定め、社内で周知・浸透させる施策を、検証を加えながら推進していく必要があります。
インナーブランディングをうまく取り入れることができれば、社員は対外的な発信にも積極的になります。結果、アウターブランディングの推進にもつながります。インナーブランディングとアウターブランディングの相乗効果によって企業価値向上、ブランド価値向上が期待できます。