用語集
2021/07/07
SiNCE 編集部

IPOするためには何をしなければならないの?

IPOとはInitial Public Offering の頭文字をとった新規株式公開という意味で、公開された株式は「新規公開株」や、「新規上場株」と呼ばれます。IPOには資金調達力向上、社会的な信用向上等の様々なメリットがあります。しかし、IPOの実現には上場審査基準等をクリアしなくてはならない、最短でも2年半かかると言われています。では、IPOのためには具体的にどのような計画で、どのような準備をする必要があるのでしょうか?今回はそんなIPOの計画について図解します。

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導入 よく聞くIPO メリットは?

みなさんは日本に上場している企業が一体何社あるかご存知でしょうか?


答えは約3000社。
これは多いでしょうか?少ないのでしょうか?


実はこの3000という数は、日本企業全体の0.1%にも相当しません。よってその中に入ることができれば、「上場企業」というブランドがつき、社会的な信用度や知名度が上がります。

また、上場することにより、一般の投資家にも株を買ってもらえるので、広く資金を調達することが可能になります。更に創業者利潤を確保することができ、事業拡大等につなげることができます。


しかし、日本企業のうち数少ない企業しか上場できていないことから想像できるように、その準備や審査通過は容易なことではありません。


では、上場できている会社は一体どのような準備をしてきたのでしょうか?次の項からはIPOに向けた具体的な準備方法について解説していきます。

課題 IPOの目的、計画の立て方とは?

まずはIPOの目的をしっかり考えましょう。

IPOにはメリットもたくさんありますが、もちろんデメリットも存在します。
(詳しくはズカイズムの「IPO(株式上場)のメリット・デメリットって?どんな会社が上場を狙うべき?」のページを読んでみてください)


あなたの企業にとってIPOが必要かという点をしっかり考えることが重要です。

例えば、IPO時に見込める株価(一株当たり当期純利益*類似業種PER)を算出してみて、検討してみると良いでしょう。

上場すると決めたら、準備に移ります。IPO準備のスケジュールは証券取引所の上場審査に申請する決算期を申請期(n)としてとらえ、その直前の期をn-1期、直前前期をn-2期・・・というように表現します。
(サイトによってはnをXや別の文字で表現しているところもあります)


上場審査には監査法人が出すn-2期からの監査証明の提出が必要になり、上場時には目論見書としてn-2期からの経営情報が開示されます。


このことからn-2期以降については慎重なコーポレートアクションが求められるので、それ以前にIPOの全体像を把握しIPOの準備に入るようにしましょう。

解決 IPOの具体的な準備方法とは?

この項では具体的な準備方法の説明をします。

①上場3期前(n-3期)
まず、社内でI株式公開準備担当者を決定し、その社員に過去の財務諸表の整理等の業務を行ってもらいます。
更にIPOに際しては会社の決算が適正である旨、専門家からお墨付きをもらう必要があります。この役割を担うのが監査法人や公認会計士です。審査については公開前二期分行ってもらう必要があるのでこちらもこの段階で選定します。選定し終わったら、その監査人に予備調査(ショートレビュー)を行ってもらい、問題点等を指摘してもらいましょう。
更に内部統制を整える、関係会社を整理する等の会社整備もこの段階で行います。

②上場二期前(n-2期)
外部監査が始まります。
その他IPOコンサルタントや外部監査から受けた指摘を元に資本政策の見直し等を行っていきます。

③上場一期前(n-1期)
市場、主幹証券会社を選定しましょう。市場ごとに上場条件は異なり、例えば東証一部では株主数2200人以上、流通株式2万単位以上・・等の条件があります。この条件を満たせるような市場を選びましょう。主幹証券会社は、公開準備のスケジュール管理、株式公開に向けた指導等をしてくれます。この役割を果たす総合証券会社は大手以外にもたくさんあり、それぞれにメリット、デメリットがあるので慎重に選びましょう。

④申請期(n期)
主幹証券会社が引受(公募や売出しの株式を引き受けること)に値するかどうか審査を行い、審査を通過したもののみ他の証券会社と共同で引受を行います。その後証券取引所の上場審査を受け、上場承認をもらうことでようやく上場することができます。

結論 IPOはゴールではなくスタート!

IPOにはとても長い準備が必要で、大変な労力がかかりますが、上場できるとたくさんのメリットを得ることができます。

まずIPOの前に自社にとって必要かどうか、そして実現可能かどうかの見極めがとても大事です。
更に、IPOを実行する際には専門家の力を使い、綿密な計画を建てていく必要があります。


そして、上場は終わりではなく新たなスタートです。
上場した後は、上場のメリットを活かしつつ、株主の対策や事業運営を行い会社を成長させていきましょう。

ズカイズムでは、IPO以外にも企業を更に成長させる考え方や手法を図解しています!
「IPO以外に何か方法がないかな」と思われる方は、ぜひ他の図解もみて見てくださいね。

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