カッツの3能力とは何だろう?管理職として知っておきたい部下の育成方法や問題点を解説

仕事に必要な能力とは何か、と聞かれたらなんと答えるでしょうか?
コミュニケーション能力、ロジカルシンキング、仮説思考、情報処理能力、管理職としてのリーダーシップなど様々な答えあると思います。
実は、仕事に求められている能力は「カッツの3能力」という主に3つの能力に分けることが出来て、役職や管理職レベルなどのポジション次第で求められる能力が異なるます。
このことを理解していると、人材育成や組織開発に役立ちます。
また、MBA取得をして上流の管理職に就きたいと考えている方は、管理職として必要になる能力を今から認識しておくことで、より成長速度が増したり活躍できるようになるでしょう。
そこで今回は、カッツの3能力について、各能力の育成方法や問題点などを解説していきます。
目次
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導入 そもそもカッツの3能力とは何だろう?レベルごとに求められる3つの能力
そもそもカッツの3能力とは一体どんな意味なのでしょうか?
カッツの3能力とは、管理職のレベルごとに異なる3つの必要となる能力のことです。
具体的には、1.テクニカルスキル、2.ヒューマンスキル、3.コンセプチュアルスキルの3つがあります。
それぞれどのような能力であるのかを説明します。
1.テクニカルスキル
テクニカルスキルとは、仕事の手順や手法とそれに関する活動に熟達していることです。
日々の定型業務をこなす為に必要な能力だったり語学力、専門知識などが含まれます。
いわゆる現場で求められる能力と言えるでしょう。
2.ヒューマンスキル
ヒューマンスキルとは、社内や外部の人間と意思疎通をしたり、良い関係を築いたりするのに必要な能力です。
コミュニケーション能力、部下や後輩への指導力や交渉力なども含まれます。
組織の中で働く場合、この能力は必須であり、現場から社長までの全ての管理職レベルで欠かせませんが、特に上司と部下を多数持つことになる中間管理職で求められる能力です。
3.コンセプチュアルスキル
コンセプチュアルスキルとは、データや事象を客観的に分析し、共通項を見いだしたり本質を見抜くのに必要な能力です。
また、組織の各部分がどのように作用し合っているのかを把握する能力も含まれます。
具体的にはロジカルシンキングや仮説思考、抽象化能力が相当します。
この能力は、マネジメントのレベルが高いほど求められる能力であり、経営者や役員クラスでは必須の能力です。
課題 カッツの3能力を伸ばすための育成方法とは何だろう?スキルに合わせることが大切
では、このカッツの3能力はどのように育成することができるでしょうか?
1.テクニカルスキル
テクニカルスキルは、現場で最も求められる能力です。
基本的は事前研修であったりOJT(実際の職場で業務をしながら行なう教育訓練)によって育成可能です。
また、専門知識を深めたり語学力を向上させるためにはeラーニングを用いた育成もいいでしょう。
個人の習熟度や知識量に合わせた、決めの細かい教育を行ないやすいことがeラーニングの強みです。
2.ヒューマンスキル
ヒューマンスキルは主にケーススタディやロールプレイングによって育成することが可能です。
ケーススタディによって、具体的なシチュエーションの中でどのような言動や意思決定をすべきかを考えることはヒューマンスキルの向上に役立ちます。
また、ロールプレイングでも、現在の自分のポジション以外の視点で物事を考える機会となり、コミュニケーションを取る上で役に立ちます。
3.コンセプチュアルスキル
コンセプチュアルスキルを育成するには、組織の他部署を横断した視点でのディスカッション・研修をおこなったり、日常の業務や研修の中で5Why分析(ある問題や事例に対して「5回のなぜ」を繰り返し、原因分析すること)を行なうことが良いでしょう。
解決 カッツの3能力の問題点が存在する?思わぬ落とし穴とは育成の難しさ
一見、カッツの3能力軸に育成や人事を考えるのがいいと思えるかもしれませんが、実は問題点があります。
コンセプチュアルスキルを育成することが困難
カッツの3能力を考えたハーバード大学のロバート・カッツ自身の論文の中で指摘された問題点です。
カッツは論文の中で、コンセプチュアルスキルとは「生得の能力」と表現しており、後天的な育成することは難しいです。
他の2つの能力に比べて抽象化能力やロジカルシンキングなどの能力は、物事をどのように考えたり捉えたりするのか、ということなので育成が難しく、企業でも人事判断としてコンセプチュアルスキルを利用しても、育成するために本格的に取り組んでいることは希です。

結論 人材育成や組織開発、キャリアアップにも役立つカッツの3能力!
カッツの3能力は各管理職レベルで必要になってくる3能力のことです。
これらの能力は、役職やマネジメントのレベルによって求められる程度がことなるとされています。
具体的には、テクニカルスキルが現場や下流管理職、ヒューマンスキルが中間管理職、コンセプチュアルスキルが経営者や役員、に最も必要であるといわれています。
このことを理解していれば、人材育成や組織開発をする上で役に立ちます。
また、キャリアアップに合わせてどの段階でどの能力が必要になるのかが分かるので、自己成長の目標を立てやすくなります。
もし、昇進して管理職になったけど仕事が上手くいかない、自分には何の能力が求められているのか分からないという方がいましたら、一度カッツの3能力に照らし合わせて必要な能力を確認してみてはいかがでしょうか?