IPO(株式上場)のメリット・デメリットって?どんな会社が上場を狙うべき?

成長企業の経営者であれば、一度は話に上がるIPO(株式上場)。近年、制度の変更によってIPOを行う企業が増えています。ニュースを見ていて「〜社が◯億規模のIPOを行い資金調達〜」といった記事を見かける機会も多くなったかと思います。
株式上場というと、よく聞くモノに「東証1部」だったり、近年では「東証マザーズ」「JASDAQ」なんていう株式市場を聞く機会が増えてきました。
株式上場するとよく「社会信用力が上がる」といった話を聞きますが、よくよく考えるとなぜ社会信用力が上がるのでしょう?それに、良い一面があれば悪い一面があるのが世の常、上場することによるデメリットってどんなものなのでしょうか?
今回はそんな「IPO(株式上場)のメリット・デメリット」について図解してきます!
目次
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導入 上場とは、会社の権利を社外の人に買ってもらうこと!
上場とは、簡単に言えば「会社の権利を社外の人に買ってもらうこと」と理解してください。社外の人に会社の権利を買ってもらって、権利を売ったお金で経営活動を行うことを指します。
これは「資本金」という、会社運営に使うお金を集めることとも言い換えられます。
大体の人は会社を設立した時、自分の貯金を資本金に充てるか、または銀行などから融資を貰い資本金に充てます。つまり、会社運営に使うお金は、自分の(借金をしていますが)お金だけで賄っているということです。
そうすると、自分のお金だけで会社を運営しているので、会社の権利は当然ですが自分のものとなります。
一方、事業を更に拡大させたいと考えたとき、どうしても自分の貯金や借金だけでは限界を迎えます。その時、自分の持っている会社の権利に値段(=株)をつけて、他の誰かから資本金を集めて更に事業を拡大させていこうと考えます。
ではなぜ社外の人はあなたの株を買ってくれるのでしょうか?
それはあなたに資本金を渡す代わりに、自分の出した資本金から出た儲けを少し貰ったり(=配当)、株を欲しいと思っているけど買えてなかった人に少し高く売ってお金を儲けることを期待しているからです。
これが、株式上場の仕組みの全体像になります。
課題 東証1部ってなに?たくさん株式市場があるみたいだけど、何か違うの?
困ったことに、「じゃあIPOをしてみよう!」と思っても、株式市場だけでもいくつもあり、それぞれ特徴が違うため目的や会社の規模に応じた上場先を考えることが必要です。
今回は上場先として比較的メジャーな3つの株式市場の特徴をご紹介し、そこからIPOを行うための流れを簡単にご説明します。
【東証1部】
日本を代表する株式市場。上場するためにはある程度の事業規模・事業安全性・健全性が求められる。会社規模に応じて、東証2部というワンランク下の株式市場も存在する。
{特徴}
国内有数の企業としてのブランドを獲得でき、社会信用力が最も高い。そのため、商品のブランド力が上がったり、求職者からの人気も高まる。
【東証マザーズ】
今後の成長や拡大が期待される事業、新技術開発を行う企業などが比較的多く取り扱われている株式市場
{特徴}
上場基準が比較的緩いため、成長企業やベンチャー企業が上場しやすく、資金調達を目的とした上場企業が多い。
【JASDAQ】
ある程度実績がある企業や安定性のあるベンチャー企業などが取り扱われている株式市場
{特徴}
JASDAQ内で比較的安定した企業もしくは資金調達目的のベンチャーで株式市場が分かれているため、目的に応じて上場先を決めやすい。
以上が比較的メジャーな株式市場です。また株式市場に上場するためには、各株式市場が設ける基準をクリアできているかを必ず審査をします。
審査内容は株式市場によって異なりますが、大まかには会社の健全性を保つための内部統制・監査と、会社の成長性を見るために事業計画の策定や過去の事業実績の整備などを行う必要があります。
審査が終われば、晴れて株式市場に上場し、新規株主から資金を調達することが可能になります。
解決 IPOのメリット・デメリットとは?
先ほど、IPOのメリットとして社会的信用力が上がることを挙げましたが、他にも以下のようなメリットがあります。
【事業活動におけるメリット】
・社会的信用力の向上
・資金力が増大し、事業投資を拡大
・知名度の向上による商品や求職者から人気の向上
・監査を行うことによる、経営体質の透明化・健全化
【従業員のメリット】
・社会的信用力の向上
・ストックオプション(給料の代わりに自社株を与えること)によって、資産形成の手段が増加
・会社知名度向上による、モチベーション・満足感の向上
会社にとっても従業員にとっても、株式上場は多くのメリットがあることがわかります。では逆に、上場することによるデメリットには何があるのでしょうか?
【事業活動におけるデメリット】
・企業の社会的責任が増したため、環境等に配慮した事業活動が必要
・株主との対話や説得
・経営の透明性を担保するための管理コスト(時間・費用)
【費用面でのデメリット】
・上場前の準備や費用
・上場を維持するための監査や株式市場への費用
以上のようなデメリットがあります。特に気をつけなければならないのが「株主との対話や説得」です。
上記でも説明しましたが、”株”とは言い換えれば会社の権利を売っていることです。
そうすると、企業が「こういった事業活動をしたい!」と思っても、権利を持っている人(=株主)が「それやっちゃダメ!」と言ってしまえば、自分たちの思い通りに事業を行うことが出来ないのです。そのため、常日頃から株主と良好な関係を持っておくことが重要となります。

結論 IPOのメリット・デメリットを上手くコントロールして、事業を成長させよう
今まで見てきた部分をまとめると、IPOをするためには大きく分けると、
・会社が健全かどうかチェックし、保つため内部統制と内部監査を行う
・会社がこれからも安定して成長していけるか判断するために、事業計画を策定する を行い上場を目指す。
IPOにはかかる期間は少なくとも1〜2年と言われています。またIPOに関する専門知識も必要になります。
内部統制・事業計画を整えるために、IPO専門のコンサルタントの力などを借りることも、円滑にIPOを進める一つの手段になります。
そして上場した後は、上場のメリットを活かしつつ、株主の対策や事業運営を行い会社を成長させていきましょう。
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