用語集
2021/07/07
SiNCE 編集部

経営課題をどうやって見つけるのか?具体的な解決策とは

企業が直面している経営課題は多岐にわたります。「生産性向上」「財務体質改善」「人材強化」「組織改革」「新事業創出」──これらの課題に対して企業はどのように取り組めばいいのでしょうか。特に最近は働き方改革の推進、労働人口の減少や急激なデジタル化、コロナ禍など社会やビジネス環境は激変しています。これから先競争が続くビジネスシーンで生き残るために、この記事では経営課題の見つけ方やそれに対する解決策などを解説していきます。

  • 動画で図解を⾒る

導入 経営課題とは?

グローバル化の進展やデジタル化の急速な発展により、企業を取り巻く環境は大きく変化しています。さらに新型コロナウイルス感染症の拡大により、経済は大きな打撃を受けています。

日本国内に目を転じると、バブル崩壊後の失われた20年やその後のリーマンショック、東日本大震災による経済停滞に加えて、少子高齢化による労働人口の減少や働き方改革の推進など、企業は対応しなければならない多くの課題に直面しています。

このような企業の発展を妨げるような要因(課題)を総称して、経営課題といいます。経営課題を克服せずに放置したままにすると、「倒産」「売上・利益・シェア低下」「人材流出」など、企業にとって致命的な事態に陥ることになります。

課題 経営課題としてよく挙げられるものとは?

一般社団法人日本能率協会「日本企業の経営課題2020」によると、企業が現在直面している課題は次の通りとなっています。

1位:生産性向上(45.1%)
2位:人材の強化(採用・育成・多様化への対応)(31.8%)
3位:売り上げ・シェア拡大(30.8%)
4位:事業基盤の強化・再編、事業ポートフォリオの再構築(27.8%)
5位:新製品・新サービス・新事業の開発(21.6%)
6位:デジタル技術の活用・戦略的投資(15.4%)
7位:現場力の強化(15.0%)
8位:財務体質強化(14.1%)
9位:高コスト体質の改善(13.2%)
10位:働きがい・従業員満足度・エンゲージメントの向上(12.0%)

財務体質の強化、高コスト体質の改善は「資金の課題」、働きがいや従業員満足度などに関するものは「従業員の課題」、人材強化、現場力の強化、新製品・新サービス・新事業の開発は「組織の課題」、生産性向上は「業務の流れの課題」、デジタル技術の活用などは「情報管理の課題」に分類できます。

これらの経営課題を解決することで、売り上げ・シェアの拡大や事業基盤の強化など、会社全体の成長につながります。

解決 経営課題を見つけるための5つのポイント

中小企業でも大企業でも、会社はさまざまな課題に直面しています。ここでは、自社における経営課題の見つけ方について、5つのポイントを挙げて解説していきます。

●ポイント1:資金(財務)の課題

資金の課題を見つけるためには、企業の財務状況やコストを見える化させる必要があります。具体的には、売上、利益率、販売費および一般管理費などのコスト(人件費、広告費、交際費など)などを洗い出します。どこにどれだけのコストをかけて、どれだけの売上を上げているか、またコストが高すぎる事業や部署などを可視化することが大切です。見える化=数値化することで自社の強みや弱みを明確にできます。また競合他社との比較にも有効活用できます。

●ポイント2:従業員の課題

社員のモチベーションややる気、満足度は企業業績に直結します。社員が目的を持って、企業とともに同じ方向に進むことは会社の成長にもつながります。やりたくないことをやらされていたり、やる気が低下しているなかで仕事に臨むことは、本人だけでなく会社としても損失です。生産性や業務効率を下げないように、従業員の課題を可視化することが大切です。

●ポイント3:組織の課題

組織を作るのは人です。人材の強化や定着率の向上は、企業にとっての最重要課題といってもいいでしょう。上記の従業員の課題にも挙がっているとおり、モチベーションを維持・向上させるような施策が必要です。同時に、最適な人材配置も大切です。そのためにも組織全体を見渡し、個人個人の状況を把握しなくてはいけません。

●ポイント4:業務の流れの課題

属人化した業務フローの定着は、効率の低下につながります。さらに新しい社員に対する教育にも悪影響が出ます。無駄な仕事を洗い出し、業務をスリム化・効率化することで時間が生まれ、重要な仕事にリソースが振り向けられるようになります。

●ポイント5:情報管理の課題

社内のノウハウや情報を一元的に管理することは、個人・チーム・会社のパフォーマンス向上につながります。データの活用はデジタルトランスフォーメーション(DX)化への課題ともいわれています。既存事業の拡大や新規事業の創出のためにも、情報管理の仕組みやツールを導入し、全社的なルールの周知が必要になります。

結論 5つの経営課題を解決する具体策とは

上述した5つのポイント(課題)に対する解決策を考えてみましょう。

●ポイント1:DX化で収益性アップ

売上や利益を拡大させ、同時に高コスト体質を改善させるためには、デジタルツールの活用やデータ活用が必要です。営業力や販売力を向上させるためには、営業部門とマーケティング・販売部門の連携が必要不可欠です。

その際に、SFAやCRMなどのシステムを導入し、データに基づいた営業戦略を構築することで営業効率を向上させることができます。いつでもどこでもデータにアクセスできるようなデバイスの活用やクラウド環境の導入などDX化を推進することが収益化につながります。

●ポイント2:公正な人事評価システムの導入

社員の成果や成績を適正に評価する仕組みを構築することが重要になります。営業成績や貢献度などパフォーマンスを見える化して、最適な評価と人材配置を実現させましょう。

●ポイント3:職場環境の整備

人材強化の側面には、既存社員のパフォーマンス向上と定着、新入社員の採用があります。

既存社員に対しては前述のとおり、モチベーションを上げるような施策を打ち、同時に働きやすい環境を整備することが大切です。働き方改革を推進し、キャリアにあった就業形態や柔軟な働き方を認めるルール作りも重要です。

同時に将来どのようなキャリアが描けるのかを提示し、そのための教育や支援体制も整えましょう。新入社員に対しては、自社の魅力や強み、ブランド力を明確に示すとともに、福利厚生など働きやすい会社であることや、適材適所で成果を発揮している既存社員のモデルケースなども明示してあげるといいでしょう。

●ポイント4:PDCAを回して業務効率化

まずは現在の業務フローを洗い出すことが先決です。無駄な仕事や業務効率を下げていたり属人化している業務をピックアップします。その上で、どのように修正するのかプランを練り、その後改善策の実効と検証を繰り返して、業務効率化を図ります。

●ポイント5:ITツールの導入で情報共有

情報を管理するためにデジタルツールの導入は必須です。特にクラウド型のシステムを導入すればどこからでもデータにアクセスできます。

営業やマーケティング部門だけでなく、すべての社員が一元的にデータを管理できれば、現在のようにリモートワークが普及している状況下でも、ストレスなく情報共有ができます。部署間やチーム間でばらばらのシステムを導入していると、後々データの統合が複雑化するので、導入に際しては事前に全社でルールを決めておくといいでしょう。

New call-to-action