用語集
2021/07/07
SiNCE 編集部

採用戦略を成功に導く8つのフローとは?

2021年の就職・転職市場は採用側優位の「買い手市場」といわれていますが、優秀な人材を確保するのはいつの時代も人事にとっては難しいもの。応募者が集まらない、せっかく内定を出したのに辞退された、入社後にミスマッチによって早期退職されたなど、採用担当者は多くの悩みを抱えていることでしょう。こうした課題や悩みを解決するためには、明確な採用戦略を立て、組織全体で実行することが重要になります。この記事では、採用戦略を成功させる8つのフローを解説するとともに、採用側の心構えなども紹介します。

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導入 変化する人材市場でどのような採用戦略を描けばいいのか?

グローバル化やデジタル化などビジネスを取り巻く環境はめまぐるしく変化しています。

また近年は新型コロナウイルスの感染拡大によって、企業活動は大きな変革を求められています。そのような環境下にあって、企業が持続的に発展するための要件の一つに人材の確保が挙げられます。

2021年の採用状況は、それまで続いていた売り手市場(応募者優位)から買い手市場(採用側優位)に変わりつつあるといわれています。新型コロナの感染拡大による事業環境の変化によって、企業の採用枠の絞り込みなどがあったためです。

ただし、どのような採用環境であっても、企業の人事担当者にとっては「優秀な人材」の確保はいつの時代も頭を悩ませる大きな問題です。なぜなら、優秀な人材の多くは大企業や勢いのあるベンチャー企業、外資系企業、公務員などを希望するケースが多いからです。

結果、小規模・中堅企業は、希望通りの人材を採用できない、といった課題を抱えたままとなってしまいます。

そうはいっても、既存事業を成長させ、新規事業を生み出し、企業業績を拡大させている企業はたくさんあります。

企業規模に関係なく、優秀な人材を確保するための有効な施策とはどのようなものなのでしょうか?

課題 採用担当者が直面する3つの大きな課題

まずは、人事をはじめとした採用担当者が採用活動に際して直面する課題を3つ解説します。この課題をいかに解決するかが、人材採用戦略の成功の可否を決めることになります。

●課題1:応募されない

近年、多くの求職者は新卒・中途を問わず、就職サイトや転職サイト、エージェントサービスなどを利用して、企業にアプローチします。

また大規模な会場で行われる合同企業説明会も、求職者と企業の「出会いの場」として古くから活用されています。

しかし就職サイトをはじめとした各種サービスは働き手や採用側、双方にとって利便性が高いものの、掲載企業が膨大な数に上るため、求職者に「発見されない=応募されない」という事態に陥りがちです。

合同説明会も多くの求職者が有名企業のブースに流れがちです。せっかく費用を出してサイトに求人広告を打ったり、出展料を支払ったのにも関わらず、手間とコストだけがかかってしまい応募者が得られないのは、採用活動の明確な失敗と言わざるを得ません。

●課題2:辞退される

首尾よく求職者とのマッチングが進み、企業にとっても納得のできる人材が見つかり内定を出した後にも、採用担当者の仕事は残っています。

多くの優秀な学生や有能なビジネスパーソンは、複数の内定を得ているかもしれません。その場合、自社と他社を天秤にかけられ、結果、内定を辞退されたら、企業は採用活動を一からやり直すということになります。

今までかかった採用コストや時間や手間が水泡に帰することになるので、こうした事態を避けるために、企業側は事前に対応策を講じておかなければなりません。

●課題3:ミスマッチ

せっかく採用した人材が、会社が合わない、仕事が合わないといった理由で、早期退職してしまうミスマッチは、どこの職場でも起こりがちです。特に若い人材ほど離職率が高い傾向にあります。

これは、社会人経験がないために、理想と現実にギャップが生まれた結果退職に至るということでもありますが、中途採用者であっても、ギャップは生じます。

そして早期退職により企業は人材採用をリスタートしなければなりません。

ここでもコスト時間や手間が余計にかかり、人事担当者としては社内の評価を下げる要因になりかねません。

解決 改善策:8つのフローからみる的確な「採用戦略」とは

企業が採用活動を成功させるためには、採用戦略が必要になります。採用戦略とは、採用方針を明確に規定して全社的に共有し、緻密な計画の元に、採用活動を進めていくことです。具体的には、下記の8つのフローが参考になります。

① 組織全体で採用計画、必要人数を決める

採用戦略は人事担当者や個別部署だけでなく、可能であれば経営トップを巻き込んだ全社的な取り組みとするべきでしょう。会社の舵取りをする人間や周りのキーパーソンの考えや指針をヒアリングし、新たな人材を必要とする部署やチームのニーズを聞くことがポイントです。そこから必要な採用人数なども決定していきます。

② 人材の人物像を具体化する

スキル、性格、年齢など、入社してからお互いにミスマッチが起きないように、欲しい人材の明確な人物像を固めておく必要があります。

③ 人材が興味を持つための施策を考える(採用ブランディング)

応募者数を増やし、内定後に辞退されないために、採用活動で自社をブランド化して、魅力をアップさせるような施策を打ち出しましょう。企業の成長性や企業価値、会社が打ち出すイメージや働きやすさなど、他社にはない優位性をアピールすることで、求職者に愛着を持ってもらえたら、人材の確保と定着につながります。

④ 自社の特徴、良さ、入社の利点を洗い出す

採用ブランディングを進めるなかで、自社の特徴や利点などを洗い出すことで、自社の強みがどこにあるのかを再確認できます。事業戦略や商品・サービスについての優位性はもちろん、福利厚生や入社後の教育体制なども整理して求職者に伝えられるといいでしょう。

⑤ 応募方法、媒体、スケジュール、予算を策定する

就職・転職サイト、ハローワーク、求人広告、合同会社説明会、インターン、自社の求人専用サイトなどの応募方法に加え、外部サービスの場合どの媒体を利用するのか、募集から採用までの全体のスケジュールや予算などを関係部署や経営層などと連携しながら決定します。

⑥ 面接者の育成を行う

自社の窓口ともなる面接者に対して、どのように求職者に対応するか、面接時の心構えや面接方法に関するマニュアルなどを用意し教育することも必要です。多くの面接者は一般社員のため知見やノウハウがないことも多いので、人事担当者がフォローしなければなりません。

⑦ 採用前のフォローアップ

優秀な人材であるほど多くの内定を得ている可能性があります。自社を選んでもらうために、人事担当者が採用予定者と密に連絡を取り合う必要があります。相手の温度感を測ることはもちろん、求職者が不安に思っていることや不明点を丁寧に説明して有能な人材を取りこぼさないようにしましょう。

⑧ 採用後のアフターフォロー

採用後に辞退されないように内定者と連絡を取り合い、条件面、職場環境や今後のスケジュールなどを共有しましょう。また既存社員や同期入社のメンバーで懇親会を開いたり、研修や勉強会などを開催することも効果的です。会社の雰囲気に関する細かいことも伝えて、不安を払拭するように手厚くフォローしましょう。

結論 採用活動は謙虚さと真摯な気持ちで臨む

企業は自社が必要とする有能な人材を採用することで、組織全体に活力を与え、事業を成長させることを目指します。そのために綿密な計画を立て、時間、手間やコストをかけて採用戦略を実行します。

一方で新卒・中途を問わず、応募者側もさまざまな思惑、考えや戦略などを持って就職・転職活動に臨んでいます。企業側が応募者を判断するのと同時に、応募者も企業側をよく観察しています。

特に複数の企業から内定をもらうような優秀な人材であれば、なおさら観察眼に優れているかもしれません。

企業として、人事担当者として、正しい姿勢で臨まないと応募者が集まらず内定辞退も増加し離職率も高まってしまうかもしれません。企業側の「採用してやる」というおごりは禁物です。応募してくれたこと、面接に来てくれたこと、入社を決めてくれたことなどに感謝する姿勢が大切です。

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