用語集
2021/07/07
SiNCE 編集部

マーケティング分野でよく使われるSWOT分析。SWOT分析で実際、何がわかるの?

経営者の皆様は「どうすれば効率よく経営を行えるか」、はたまた「新しいビジネスは何をすべきか」を考える機会が多いと思います。
その際に利用される便利なフレームワークがたくさんあります。
中でも有名なものの1つがSWOT分析です。
名称だけは何となく聞いたことがあるという人も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、SWOT分析の基本的な内容から、ビジネスシーンにて活用するポイントややり方など、SWOT分析についての詳細を解説していきます。

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導入 自社の強みなどを把握できるSWOT分析とは?

自社所有する社内リソースが、外部の要因によってどのように影響されるのかを整理できれば、市場領域を拡大したりといった課題の解決に役立ちます。

SWOTとは経営に影響を及ぼすカテゴリーを4つに区分して、各カテゴリーの視点に立って経営戦略や事業計画の分析を行う方法です。

日本語では「スウォット」と読むのが一般的です。

SWOT分析のSWOTとは、「強み・弱み・機会・脅威」の英語の頭文字を組み合わせた表記です。

内部環境・外部環境それぞれの影響を4つのカテゴリー整理することで、自社の課題や新しい強みを分析をしていきます。

そうすることで、市場の現状や今後の機会・事業課題を発見することができ、効率的にマーケティング戦略を立案することができます。

課題 SWOT分析を構成する各要素についての解説

SWOT分析をすることで、競合・法律・市場などの自社の周辺に ある外部環境と、資産・ブランド力・商品価格・品質などの自社内の内部環境を比較できて、何がプラス・マイナスなのかを客観的に分析できます。

経営戦略策定とマーケティング、資源の最適化を改めて見直すのに有効なフレームワークです。
では、SWOTを構成する各要素について細かく解説していきましょう。


・Strength = 強み

その企業が既に所有している資源や特徴などで、経営の目標達成へ貢献するのに大切なアピールポイントが何かを考えます。
最も「強み」となる内部環境の要素のことです。

・Weakness = 弱み

その企業が既に所有している資源や特徴の中でも、経営の目標達成を妨げてしまうと予想できる問題点は何かを考えます。
最も「弱み」となる内部環境の要素のことです。

・Opportunity = 機会

その企業の外部にある環境を見渡して、経営発展や成長のために大きく貢献してくれそうな動きやトレンドなどの機会のことを考えます。
最も「機会」となる要素のことです。

・Threat = 脅威

その企業の外部にある環境を見渡して、経営発展や成長を脅かす妨げとなりそうな動きやトレンドなどの都合の悪い機会を考えます。
最も「脅威」となる要素のことです。

SWOT分析とは、以上の4つの項目を分析していきます。
その際の注意点としては、「なぜ分析を行う必要があるのか」目的を明らかにすることです。

例えば、自社サービスを生かして、どのような勝機を得たいのかという目的があれば、市場と自社の強みを深く掘り下げていけるでしょう。

逆に、自社サービスの何が現在の問題点なのかを知るのが目的なら、外部環境の何が脅威になるのかを分析し、リスク回避の戦略にも役立ちます。

またSWOT分析では、とくに外部環境の動向を把握しながら仮説を立てるのが望ましいでしょう。

内部環境の分析は、外部環境の変化によって変わっていくとされています。

いくら自社の商品サービスが完璧だと思っていても、時代の流れや背景によって淘汰される恐れもあります。必ず内部環境と外部環境の双方の視点から照合することが大切です。

解決 SWOT分析とはどのようにして活用すればいいのか?

それでは、SWOT分析を行った上で、実践を試みた企業の事例、その活用方法について紹介していきます。

・SWOT分析例①:トヨタ自動車の事例

内部環境の分析をした結果、トヨタには以下の強み・弱みが分かりました。

●強み(Strength)

世界有数な販売力・ブランド力
営業利益の高さ
自動運転技術の最先端をリードする

●弱み(Weakness)

軽自動車の生産をしていない
中国市場への参入をしていない

一方、外部環境の分析結果では、主に以下のような項目があげられます。

●機会(Opportunity)

発展途上国での市場拡大
自動運転機能搭載が法整備されていく

●脅威(Threat)

人口減少による市場縮小の恐れ
家族形態の変化で大型車の需要が減る

・SWOT分析例②:六花亭の事例

北海道のお菓子メーカーとして知られている六花亭(ろっかてい)も、SWOT分析によって内部・外部環境と自社の強みや弱みに着目した事業展開をしています。

●強み(Strength)

北海道を代表する和洋菓子の製造販売
通信販売に力を入れる
美術館の運営も行う

●弱み(Weakness)

一般的な価格帯と比べて高い傾向
地元での原料調達しかできない
直営店は北海道内にしかない

一方、外部環境の分析結果では、主に以下のような項目があげられます。

●機会(Opportunity)

海外市場への拡大
特化したブランド(マルセイバターサンド)の強化

●脅威(Threat)

人口減少によるお菓子ばなれ

以上のように、4つのフレームにあてはめた、自社が持つ特徴や周辺の動きなどを客観的にとらえて、目的や課題解決の指針にしていくのがSWOT分析です。
さらに、これら4つを交互にかけ合わせながら進めていきます。

・強み × 機会 = 強みを生かして機会を勝ち取る方法は何か?
・強み × 脅威 = 強みを生かして脅威を回避する方法は何か?
・弱み × 機会 = 弱みを考慮しつつ機会を最大化する方法はあるか?
・弱み × 脅威 = 弱みを理解しながら脅威からの影響を最小限にする方法は?

このような各要素をクロスさせて分析することを「クロス分析」といいます。
SWOT分析の結果は、必ずクロス分析も行うことで最良な回答を導き出すというのがセットになっています。

結論 自社の強みや弱みを知ってSWOT分析をマーケティングに活かそう

SWOT分析では、4つの要素を見ながら広い視野で自社分析が可能です。自社の製品・サービスの魅力を再確認しながら、周囲の環境とどうマッチングさせるか戦略を練るのに役立ちます。

しかもシンプルな手法でアイデアを出し合えるので、複数のメンバーでミーティングを行うとより効果的です。
ただし、自社のことを知っているがゆえに、つい思い込みが激しくなって、周りが見えてこなくなるデメリットも考えられます。


アイデアを出す段階ではよくても、最終的には客観的な考え方も織り交ぜる工夫が大切になるでしょう。
また、SWOT分析で取り上げて浮上した項目は、あくまでもその時の状況でしかありません。


戦略や戦術そのものではないため、必ずクロス分析などもマッチさせて具体的な実践方法まで決定させることがポイントとなります。

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