TVは広告媒体としては終わっている?効果を計る新たな施策とは
ネット広告の伸張に比べてテレビ広告の伸びは鈍化しています。一日のうちで自由に使える時間である可処分時間は、スマホや動画メディアに取られ、テレビを見る時間が減っていることなどが遠因として挙げられます。広告効果を考えたときにテレビCMはもう「終わった」のでしょうか。さまざまな業界でデジタル変革が起こっている現代において、テレビCMもまたネットとの融合が進んでいます。広告を出稿する立場から、テレビCMの可能性を探ってみましょう。
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導入 テレビCMが終わったと判断するのは早計
「テレビを見なくなった」「テレビはつまらない」「YouTubeばかり見ている」──テレビ離れを指摘する意見をいろいろなところで見聞きします。実際に、以前に比べて余暇時間に使えるツールや娯楽は格段に増えています。YouTube、Netflix、DAZN、Amazon Prime Videoなど動画コンテンツの配信サービスは隆盛を極めています。ネットサーフィンやSNS、ネットショッピング、ゲームなど、可処分時間の多くをスマホに費やしている人も多いでしょう。
広告費の統計を見ても、ネット広告の拡大に比べて、テレビを中心としたオールドメディアの鈍化は明らかです。電通が発表している「日本の広告費」によれば、2019年にはインターネット広告費(2兆1,048億円)がテレビの広告費(1兆8,612億円)をはじめて抜いたといいます。
こうしたことから、「テレビCMは広告を出稿するメディアとしての地位が低下している」とする意見があるのも納得できる部分はあります。
ただ、テレビとネットにはそれぞれの特性があり、広告媒体としての特性も異なります。広告媒体として見たときには、まだテレビが存在感を持てるケースがあるのも事実です。「テレビは終わった」と判断するのは時期尚早かもしれません。
課題 テレビCMはデジタル変革で新たな展開に
他のあらゆる業界同様、デジタルシフトによって、旧来のビジネス環境は変革の真っ只中にあります。しかしそれは同時に、テレビなどオールドメディアもまたデジタル化によって、ユーザーに新たなサービスや価値を提供できる可能性があるということも意味します。
実際に近年、「運用型テレビCM」の需要は拡大しています。運用型テレビCMとは今まで効果が見えづらかったテレビCMの課題を改善するサービスで、CM効果をCV(Conversion)・CPA(Cost Per Acquisition)単位でリアルタイムに可視化できるものです。効果的なCVを獲得できる広告枠をデータで分析し、そこに最適なコンテンツを投入することで、今までにはない広告効果が得られるのです。
他にも膨大な顧客データを駆使して、CMにおける広告効果を増大させる施策を行っている企業もあります。いずれにしても、今まで実現できなかったビッグデータの活用によって、より効果的・効率的なテレビCMを打てるようになったことは、デジタル変革の一つといえるでしょう。
解決 認知向上は今でもテレビCMが1番
広告費が伸張しているネット広告は、費用が比較的安価である点が魅力です。またターゲティング広告によって、企業が狙う購買層にダイレクトに商品・サービスを訴求できるメリットもあります。出稿しているクリエイティブの効果が低いとわかればすぐに広告内容の差し替えも可能なので、PDCAを回すのも容易です。
一方、テレビ広告の魅力はなんといっても、リーチできる範囲の広さでしょう。テレビCMによって、商品・サービスの認知を一気に上げられるという利点があります。全国に届けたい、高年齢層にアピールしたいなどの場合はTVの効果は依然として突出しています。またネット広告と違い、ブランドのイメージ向上にも寄与します。
先述のとおり、ネットとの融合によりテレビCMも進化を続けています。マスに届けられるという従来からの魅力も相まって、テレビCMの存在感は今後増すことになるかもしれません。
結論 テレビCMの新たな可能性に注目しよう
テレビの視聴時間が減ったり、広告の出稿費が低減している状況下でも、依然としてテレビCMの効果は絶大です。素早く広く認知させるメディアとしては、TVはいまだにナンバーワンでありオンリーワンともいえるでしょう。
重要なのは、広告を出稿する企業が誰に何を届けたいかということです。認知向上が目的ならばテレビ、若年層に訴求したいのならばネットなど、使い分けも必要になります。
あらゆるサービスがデジタル化する中で、広告の手法も日々変化し続けています。ネットとの融合はこれからも進んでいくでしょう。
広告を出す側としては、「テレビCMは終わった」と断罪するよりも、上手に活用する方法を考えるべきです。アドテクノロジーに注目し、新しい取り組みにアンテナを張って、自社の施策に生かせるようにしましょう。