自然言語処理のビジネス活用例
自然言語処理のビジネス活用例について紹介します!
はじめに
自然言語処理とは、人間が日常的に使用する自然言語(日本語、英語など)をコンピュータが理解し、処理するための技術のことを言います。Natural Language Processingという名称から、NLPと表記されることもよくあります。
自然言語処理を利用した代表的なサービスには、
- 機械翻訳サービス: Google翻訳、DeepLなど
- 音声認識サービス: Siri(Apple)、Alexa(Amazon)など
- テキスト分類:Gmailで、受信メールを「メイン」「ソーシャル」「プロモーション」に分類
などが挙げられます。皆様も良く知っているサービスではないでしょうか。本記事では、自然言語処理技術のビジネスにおける活用事例と、仕組みについて簡単にご紹介します。
マーケティングでの活用例
感情分析:感情分析とは、テキストや音声などから感情や意見を抽出し、その内容が「肯定的」、「否定的」、または「中立」であるかを判定する自然言語処理の技術です。例えば、オンラインショッピングサイトのレビューより、商品に対する顧客の感情を分析し、肯定的な意見や、問題点を抽出することができます。また、商品のレビューだけでなく、SNS上での投稿やコメントからユーザーの感情を抽出することも可能です。
キーワード抽出とSEO: コンテンツから、頻出のキーワードや共起語(「サッカー」と「キーパー」のように、ある特定のキーワードが出現した時によく一緒に利用されるキーワードのこと。)を抽出し、検索エンジン最適化(SEO)のための適切なキーワードを探索することができます。
社内業務での活用例
チャットボット:テキストまたは音声ベースでユーザーからの質問に答えたり、指示に従ったりします。例えば、従来のカスタマーサービスでは、コールセンターの人手が足りず、電話がつながりにくいといった問題がありましたが、チャットボットの導入により、企業側は人員を大きく削減することができ、お客さん側も長時間待たされるということが少なくなりました。
OCR(Optical Character Recognition、光学文字認識):OCRは、印刷されたテキストや、手書きの文字を検出して、デジタルなテキストデータに変換する技術です。OCRにより、紙の文書や書籍をデジタルフォーマットに変換し、電子的に管理することができます。また、文書内のテキストを認識し、検索可能な状態にできることも利点です。
自然言語処理の仕組み
「自然言語処理が便利なのはわかった。でも、なぜ機械で人間の言葉を処理できるのだろう?」と疑問を持った方もいらっしゃると思います。自然言語処理では、次のような流れで処理が行われています。
形態素解析:文章を単語に分割する作業。日本語では品詞ごとに分割され、それぞれの単語の品詞や基本形を特定します。
構文解析:単語同士の関係性を解析し、文の構造を明らかにします。主語・述語関係や係り受け関係などを分析します。
意味解析:構文解析をした文の意味を正しく解釈する作業。単語やフレーズの意味を推定し、文全体の意味を理解します。
文脈解析:文同士の関係性を解析する作業。前後の文の関係や文章の内容を正しく解釈します。
それぞれ小難しい名前がついていますが、簡単に言うと、「機械では人間のように文章を理解できないので、はじめに文章を品詞ごとに細かく分割し、その品詞同士の関係を構造化することで、処理を行っている」のですね。
それぞれのステップでは、既にライブラリがあります。(形態素解析ではMeCabなど)実際に分析するときは、それらを活用すると便利です。また、Googleによって開発されたBERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)は、これらのタスクを包括的に扱うことができる事前学習モデルです。
終わりに
本記事では、自然言語処理のビジネス活用例と仕組みについて取り上げました。自然言語処理は、音声認識AIやチャットボットなど、私たちの身近なところでも使われている技術です。ChatGPTの台頭に挙げられるように、自然言語処理分野における今後の技術革新は、想像もつかない速さで進むことでしょう!この記事で取り上げたサービスの例が、時代遅れのものとなってしまう日も遠くないのかもしれないですね。