クリプトジャギングとは?仕組み・実例・対策まで完全ガイド【2025年最新版】

あなたのPCも狙われているかも?“気づかれないマルウェア”クリプトジャギングの基本から最新手口、対策法、企業が取るべきセキュリティ対策までを徹底解説。2025年最新動向をもとに、IT担当者も一般ユーザーも必読の内容です。
目次
はじめに
なぜ今「クリプトジャギング」が注目されているのか
仮想通貨の高騰と並行して、密かに進行する「見えない脅威」があります。それが「クリプトジャギング(Cryptojacking)」です。これは、ユーザーの気づかないうちにPCやスマートフォン、さらにはクラウド環境までを乗っ取り、暗号資産(仮想通貨)のマイニングに悪用するサイバー攻撃手法です。
2024年から2025年にかけて、マルウェア型のクリプトジャギングは前年比で約34%増加し、特に中小企業・教育機関・個人ユーザーを中心に被害が急増しています【CrowdStrike調査】。本記事では、この見えない脅威の正体とその背後にある仕組み、事例、対策までを包括的に解説します。
クリプトジャギングの基本構造とメカニズム
クリプトジャギングとは?シンプルだけど悪質な仕組み
クリプトジャギングは、ユーザーの許可を得ずにデバイスのCPUやGPUを使い、仮想通貨(主にMoneroなど)をマイニングする不正行為です。攻撃者にとっては、匿名性が高く、感染の痕跡も残りにくいため、“静かで収益性の高い”手法として人気が高まっています。
特にブラウザベースのスクリプト型(Coinhiveなど)や、感染後にバックグラウンドで動作するマルウェア型のジャッカーが代表的な手法です。
なぜ気づかれにくいのか? – クリプトジャギングの巧妙な特徴
ランサムウェアのようにデータを“人質”にとるわけではなく、PCのリソースを奪うだけ。これが最大のポイントです。感染してもファイルが消えるわけではないため、気づかれにくく、長期間にわたってマイニングが続けられます。
■ 典型的な症状
- PCやスマホの動作が急に重くなる
- ファンが常に回り続ける
- バッテリー消耗が異常に早い
- タスクマネージャーで「不明なプロセス」がCPUを占有している
実際のプロセスと代表的な感染ルート
クリプトジャギングの攻撃ステップ【図解付き】
- 感染経路の確保:広告ネットワークや偽アプリ、フィッシングサイトからスクリプトやマルウェアが配布される
- 端末への侵入と潜伏:ブラウザを介して即座に起動、またはマルウェアがインストールされる
- マイニングの開始:CPU・GPUを最大稼働させ、報酬を攻撃者のウォレットへ送信
- 発見・駆除されるまで継続:PCに常駐し、電力と性能を消耗し続ける
主な感染形態とその特徴
ブラウザベース型(スクリプト型)
- Coinhive(※2019年にサービス終了)に代表される形態。WebサイトにJavaScriptを埋め込むことで、訪問者のブラウザから直接マイニングを行う。
マルウェア型(常駐型)
- システム内に侵入し、起動時に自動実行。検出回避のため、プロセス名を「svchost.exe」や「chrome.exe」などに偽装することも。
クラウド環境悪用型
- AWSやGCP、Azureの不正ログイン・設定ミスを突き、企業のインフラをマイニングに流用。被害は月数百万円規模に膨らむ例も。
クリプトジャギングの被害事例と実際の影響
実例1:教育機関の研究用サーバーが丸ごと乗っ取られる
ある大学の研究室では、GPUサーバーが不審なプロセスで高稼働していることが判明。調査の結果、学生が使用したUSB経由でマルウェアが侵入しており、3ヶ月以上にわたり暗号通貨の採掘に悪用されていました。
実例2:クラウドインスタンスで月額コストが数十倍に
米国の中小企業が、クラウドサーバーの設定ミスにより外部から不正アクセスを許し、仮想通貨マイニングに使われた事例も。通常100ドル程度だった月額請求が、一気に5000ドルに跳ね上がりました。
クリプトジャギングのリスクと課題
クリプトジャギングに感染すると、まず端末のパフォーマンスが低下し、業務効率に支障が出るようになります。CPUやGPUが常に稼働するため、処理速度が落ち、動作が重くなることが多いです。
また、電気代やクラウド料金の増加といった経済的な損失も無視できません。とくにクラウド環境では、予期せぬ高額請求に発展するケースもあります。
さらに、長時間の高負荷が続くことでハードウェアの劣化や故障を引き起こす可能性があります。
加えて、クリプトジャッカーが他のマルウェア機能を併せ持つ場合、機密情報の漏洩といった二次被害のリスクも高まります。
見えにくい攻撃だからこそ、早期の気づきと対策が重要です。
2025年に注目すべき新たなトレンドと対策技術
AIによるリアルタイム脅威検出の進化
近年は、シグネチャベースのウイルス対策に加え、AIによるプロセス挙動分析型ソリューション(例:CrowdStrike Falcon、ESET Protect)への移行が進んでいます。CPU使用率の急変や異常通信を検知し、自動的に遮断する技術が今後の主流となるでしょう。
ゼロトラストアーキテクチャの普及
「信頼しないことを前提に設計された」ゼロトラストは、クリプトジャギングを含むさまざまな脅威への堅牢な防御構造として注目されています。アクセス制御・認証の厳格化により、クラウド環境の乗っ取り対策として効果的です。
ユーザーと企業が今すぐできる実践的な対策
個人ユーザー向けチェックリスト
- タスクマネージャーで不明なプロセスを監視
- ブラウザ拡張「No Coin」「MinerBlock」などの導入
- セキュリティソフトを最新版に保つ
- 公共Wi-Fiでのアクセスを控える
企業向け対策ポイント
- EDR(Endpoint Detection and Response)導入
- クラウド設定の定期点検(IAM管理の見直し)
- 社内研修で「目に見えない攻撃」への意識付け
- 脅威インテリジェンスサービスの活用
まとめ
見えない脅威に備える“静かなる防衛”を
クリプトジャギングは、ランサムウェアのような派手さはないものの、気づかれずに損失を与える“サイバー版の寄生虫”とも言えます。だからこそ、検知も防止も一歩先を読む対応が求められます。
日々のセキュリティアップデート、行動ログの分析、そして「何も起きていない今こそ守るべき」という意識の継続こそが、最善の防衛策なのです。