AIはレベルによって使い分ける時代になった

AI分野の発展が進んだ昨今では、AIを企業の中で使用する敷居はとても低くなっている。それは、コードベースのAI開発の時代から、GUIベースのコード開発の時代に変わりつつあるからだ。この記事では、AIサービスを大きく展開している「Google」と「Amazon」に注目しながらAI開発環境の今を見ていく。
目次
ノーコード時代の開発環境
AIや機械学習という言葉がよく使われるようになった現代ですが、そういったサービスは様々な企業が続々と新しいものを提供し続けています。
その中でも、「Google」と「Amazon」はAIの開発環境の提供から、構築済みのサービスまで幅広く展開しています。
また、AIの知識がなくてもAIを使えるようなサービスが近年では多く展開されています。Amazonの「SageMaker Canvas」はビジネスアナリスト向けのノーコードの機械学習サービスですが、これは2021年の11月に一般提供されました。
これ以外にも、構築済みのAIサービスを用いれば、知識ゼロの状態からすぐに最高レベルのAIを使うことが可能な時代になっています。

GoogleのVertexAI
Googleは2021年5月19日にVertex AIという各種ML(Machine Learning)ツールを統合したプラットフォームを公開しました。
Vertex AI公式ドキュメント(https://cloud.google.com/vertex-ai/docs)
Googleは機械学習を扱う場合の問題点の一つとして、「機械学習に取り組む人材の確保」を掲げていました。Vertex AIは以前の「AI Platform」と「Auto ML」の2つが統合されており、あらゆるスキルレベルに対応することができます。
Vertex AI以外にも、コードベースであれば「BigQuery ML」を使用することによって、標準SQLクエリを使用して機械学習モデルを作成、実行することができます。
これらの開発環境以外にも構築済みサービスが提供されており、翻訳や会話型AI、テキストや非構造化データからの分析情報の取得などがあります。
詳しくは公式のドキュメントをご覧ください。
(Google Cloud)
AmazonのAmazon SageMaker Canvas
これは2021年11月30日に一般公開された、ビジネスアナリストなどの機械学習に関する知識がない人でもMLモデルの構築などを可能にする機能です。
「SageMaker Canvas」は「SageMaker」という、Amazonが提供するコードベースのAI開発環境と同じテクノロジーを使用しています。Amazonは「SageMaker Canvas」によって社内のすべての従業員が機械学習を扱うことができる環境を提供しました。
これ以外にも、Amazonは様々な構築済みのAIサービスを提供しています。
・コンピュータビジョン(画像分析・活用など)
・自動化されたデータ抽出と分析
・言語AI
・カスタマーエクスペリエンスの向上
・ビジネスメトリクス
・コードとDevOps
・産業向けAI
・ヘルスケア
また、Amazon にはデータセットの作成のための、「SageMaker Data Labeling」やワークフロー構築の「Amazon Augmented AI」も提供されています。
これらを合わせて活用することによって、誰もが効率的にAIや機械学習を活用することができるようになります。
それ以外のAI開発環境やサービス
・Microsoft
Microsoftからは、「Azure Machine Learning」が提供されています。
https://azure.microsoft.com/ja-jp/services/machine-learning/#product-overview
ドラックアンドドロップデザイナーであり、誰でも簡単にモデルを構築しトレーニングすることが可能です。また、様々なサービスと互換性があり、ノートブック(Python)などを用いたモデルの構築も可能です。
構築済みAIでは「Cognitve Services」というものが提供されており、「視覚」「音声」「言語」「決定」の4つのカテゴリーに分類したサービスを利用することができます。
・IBM
IBMからは「IBM Watson Machine Leaning」が提供されています。
(Watoson machine leaning)
これはコードベースでもノーコードでも使用することができます。
ノーコードのドラッグアンドドロップに特化したものに、「SPSS Modeler」があります。こちらはデータサイエンティストのタスクの高速化を目標に設計されたサービスになっています。
適切なAIサービスの選択する
このように、様々な企業が機械学習サービスを提供していますが、知識がゼロでもできるように、データサイエンティストの作業を効率化するためにといった理由によって、ノーコードで機械学習ができるようなサービスが多く見受けられます。
しかし、重要なのは自分の企業のレベルによってAIサービスを正しく使い分けることです。
ノーコードの利点は早く簡単に利用できることですが、コードベースの場合は、自社に合わせてノーコードよりも細かいカスタマイズが可能であるということです。自社が置かれている現状をしっかり把握し、期間とレベルをよく考えたうえで適切なサービスを利用していきましょう。