初心者向けデータ仮想化!Denodo Platform概要
データをリアルタイムで使いたいならデータ仮想化が便利!複数のデータソースを一元化して、効率よく活用する事例や仕組みを初心者の方にもわかりやすいように説明します。本記事ではデータ仮想化の中でも特に、Denodo社が提供しているDenodo Platformを中心に解説いたします。
目次
はじめに
近年、企業が扱うデータ量は急増し、多様なシステムやフォーマットに分散されたデータをどう効率的に活用するかが課題となっています。
そんな中で注目を集めているのが「データ仮想化」です。
データ仮想化は、物理的なデータ移動を必要とせずに複数のデータソースを一元的に管理し、リアルタイムで必要なデータを提供する技術です。
従来のデータ統合方法と異なり、素早く柔軟にデータ活用を始められるため、ビジネスの意思決定を加速させるツールとしても注目されています。
本記事では、データ仮想化の仕組みやメリット、具体的な導入ポイントについてわかりやすく解説します。
今回主に説明しているのは、データ仮想化の分野をけん引しているDenodo社のDenodo Platformです。
データについてもまだまだ初心者という方や、初めてデータ仮想化に触れる方でも理解できる内容を目指しています。
従来の課題
企業にはさまざまなデータが存在しますが、これらを活用するには多くの課題がありました。
まず、データが複数のシステムに分かれているため、それをまとめる作業(ETL処理)には時間やコストがかかる上に、リアルタイムで最新データを使うことが難しいという問題がありました。
また、データが追加されたり変更されたりすると、システム全体を見直す必要があり、柔軟に対応できない点も課題でした。
さらに、データが各部署やシステムでバラバラに管理される「サイロ化」が進むと、データの正確性や安全性を守る仕組み(データガバナンス)が不十分になり、間違ったデータ利用やセキュリティリスクにつながる可能性がありました。
これを解決するのがデータ仮想化です。
データを移動させずに統合するため、リアルタイムでデータが使え、作業コストも削減できます。
また、一元化されたデータ管理により、品質やセキュリティの管理がしやすくなり、ガバナンスが強化されます。
これにより、企業は柔軟で安全にデータを活用できるようになります。
データ仮想化、Denodo Platformとは
データ仮想化とは、
端的に言えば、データの物理的な場所や形式に関係なく、ユーザーに統一されたデータを提供する技術です。
そしてDenodo Platformとは、
データの物理的な場所や形式に関係なく、ユーザーに統一されたデータを提供するプラットフォームです。
様々な形式のファイルやデータを、データ仮想化技術でデータを複製することなく一元的にアクセスすることができるようになります。
わかりやすく言えば、Denodo Platformとデータソースさえ接続してしまえば、Denodo Platformに接続するだけで全てのデータにアクセス、加工、利用までシームレスに行えます。
さらに詳しい内容は以下のとおりです。
Denodo Platformの特徴
Denodo Platformには大きく5つの特徴があります。
1. データ仮想化によるリアルタイムインテグレーション
2. データカタログ
3. アジャイル開発
4. ガバナンスセキュリティ
5. 日本企業へのサポート体制
それぞれについて、以下で詳しく解説していきます。
1. データ仮想化によるリアルタイムインテグレーション
・あらゆる場所、形式のデータを統合
ビッグデータやクラウドデータ、SaaSデータ、Webデータ、構造化/半構造化/非構造化データ等、200種類以上の豊富なコネクタを使用して様々な場所に散在するデータを統合する
→従来の統合にかかっていたコストを削減
・データを複製することなく仮想的な統合を可能にする
→統合のスピードを速める
→データ移行のコストやリスクを削減
→選択的に完全複製や選択的実体化を可能にする
・リアルタイム連携による分析スピードを提供
→迅速に課題を特定し、解決策を模索することが可能
・ローコードでデータを加工
→異なる種類のAPIをDenodoに登録することで、まるでそれらが一つのデータベースに格納されているかのように扱える
→ユーザー主導のデータ活用を促進
2. データカタログ
データカタログの機能と、その機能にどのような特徴があるのかを以下にまとめました。
通常のデータカタログ機能に加え、データ仮想化を活用することによってさらにプラスアルファの利点がDenodo Platformのデータカタログには存在します。
機能 | 特徴 |
データカタログ | ・データ資産のメタデータ(名前、説明、スキーマ、タグ等)を一元管理 ・キーワード検索、カテゴリ分け、タグ付けによる柔軟な検索 ・データのLineageの可視化 |
データプロファイリング | ・データの品質(完全性、一貫性、正確性)を自動的に評価 ・データの統計情報を算出 |
データ検索 | ・自然言語検索、ファセット検索など、様々な検索方法に対応 ・検索結果の絞り込み、並び替え機能 |
データ連携 | ・様々なデータソースと連携 ・データ仮想化技術により、複数のデータソースをシームレスに統合 ・データ仮想化によってデータ検索からBI等のデータ利用まで通して利用可能 |
データガバナンス | ・アクセス権限の管理、データの変更履歴の追跡 ・データ品質ルール定義、違反検知 |
データ検索では、例えば2023年度の広告費と売上を調べたいとき、「2023年 広告費」、「2023年 売上」という簡単なキーワードでDenodo Platformを検索することが可能です。
このような機能から、データカタログのメインターゲットはビジネスユーザーになります。
データカタログを用いてローコードでデータの利用が可能になるため、データに関する専門的な知識がなくてもビジネス課題解決に向けて、手軽にデータを利用できることにつながります。
もちろん、その他のデータアナリストやデータエンジニア、データサイエンティストにとっても、非常に有用な機能です。
3. アジャイル開発
従来のウォーターフォール開発:
「要件定義」「企画・設計」「開発・実装」「テスト」の順に、各工程を完了させてから次に進む
→開発着手までに時間がかかる
→開発途中での仕様変更は追加対応は困難
Denodo Platformを用いたアジャイル開発:
データ仮想化によってデータへのリアルタイムアクセスが容易になり、細かなインテグレーションサイクルを回しながらユーザーの新しい要望を次々にとりいれられる
→短期開発が可能
→スピーディーかつ柔軟にユーザーが欲するデータの提供を可能にする
4. ガバナンス・セキュリティ
利用者がデータにアクセスする際にはDenodo Platformに接続するだけで様々なデータにアクセスが可能になるため、アクセス経路が一元化され、セキュリティポリシーとガバナンスの一元的な適用が可能となります。
さらに、Denodo Platformでは
・列単位・行単位のマスキング
・ユーザポリシーに応じたきめ細やかなアクセス制御
といった細かい部分まで設定することが可能です。
ユーザー視点でも、管理者視点でも便利になります。
5. 日本企業へのサポート体制
Denodo社には日本法人が存在し、日本企業への導入も順調に進んできています。
海外で高い実績のある製品を、日本企業の組織形態等に合わせて適応させながら導入することに成功しています。
具体的にいくつか導入会社をあげると、KDDIやPERSOL、DNP、清水建設といった、日本の大手企業に導入されています。
Denodo platformの利点
Denodo Platformを導入することには、大きく5つの利点があります。
1. テクノロジーの最適化
データ仮想化技術によって、データの複製をすることなく統一されたビューを作成することが可能になるため、ハードウェアとガバナンスの節約につながります。
それにより、既存のサーバやストレージに対する投資効率が高まり、テクノロジーの最適化が行えます。
2. リスクの低減
リアルタイムインテグレーションにより、スピーディーな課題の発見、解決が可能になります。
また、データガバナンス・セキュリティが強化されるため、リスクの低減を実現できます。
3. 生産性向上
UIが高く、ローコードで操作が可能かつ、データカタログによってデータの探索も容易になることで、利用者全ての人に対してデータの利活用の促進を促します。
データの専門出ないビジネスユーザーでも簡単にデータを活用できるようになり、生産性が向上します。
4. 価値実現の高速化
Denodo Platformではアジャイル開発が可能になるため、従来のウォーターフォール開発に比べて大幅に時間を短縮できます。
また、従来のETLにかかっていた時間をデータ仮想化により大幅に削減し、データの利活用の時間を増大させます。
データ活用型のプロジェクトの完成を早めることで、価値実現の高速化を可能にします。
5. 利益の成長
1~4までの利点を生かし、データの収集から活用までをDenodo Platform内で行い、収益を増やしてコストを削減します。
従来の課題と解決策
機能の具体例
まとめ
データ仮想化は、物理的なデータ移動を不要にし、複数のデータソースをリアルタイムで統合・活用する技術です。
従来のETLやデータウェアハウスの課題である時間・コストの削減、柔軟性の向上、データガバナンスの強化を実現します。
これにより、企業は最新データを迅速に意思決定に活かしつつ、セキュリティやコンプライアンスを維持できます。
効率的なデータ活用を目指す現代の企業にとって、データ仮想化は不可欠なソリューションです。