用語集
2021/07/07
SiNCE 編集部

新規事業展開や起業に役立つ!5Forces分析とは?その構成と活用方法を紹介

ビジネスの展開について、どのような外部からの脅威があるのかを分かりやすく示しているフレームワーク、それが5Forces(ファイブフォース)分析と呼ばれるものです。
自社の主な事業や取り巻く業界にて、今どのような立場にいて背景が横たわっているのかを知れるツールで、その主な構成要素と活用方法を紹介していく特集です。
企業が新規参入、新商品開発やサービスの立ち上げの際に自社収益性を検証するためにおすすめできます。

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導入 5Forces分析は事業環境分析に役立つフレームワーク

5Forces分析は、企業が何か新しい展開を始めるにあたり、役立つフレームワークとして活用されています。

その発祥は、米国の経済学者マイケル・E・ポーター氏が唱えたことで、彼はわずか35歳の若さでハーバード・ビジネス・スクールにて史上最年少の教授となった人物でもあります。

5Forces分析では、あらゆる業界の競争状態を揺さぶる5つの要因について述べられています。

日本語に訳すと「ファイブ・フォース」「5フォース」という表記です。経営戦略において競争は重要な要素で、5Forcesは経営に不可欠なツールと唱えています。

とくに企業の環境分析を行うのに、外部環境と内部環境に分けながらも、5Forcesでは外部環境にてミクロ環境分析も行うフレームワークです。

課題 事業展開や起業におすすめな5Forces分析の主な構成要素

5Forcesは、あらゆる業界の構造を把握できるフレームワークとして知られています。

その5つの要素とは、「既存競争者(業界)の脅威」「新規参入の脅威」「代替品の脅威」「売り手の交渉力」「買い手の交渉力」という種別に分類されます。

これら5つの要素を理解しながら自社との力関係を判断すると、収益性の高低差を占うことができます。では、これら5つの要素について、さらに細かく見ていきましょう。

・業界内の脅威

業界内では競合他社との直接的な競争をします。競合が多ければ多い程、自社の収益性が下がるのは言うまでもありません。

そこで、どの企業でも独自性のある商品・サービスを開発しようと試み差別化を図るものです。また、業界規模が小さく成長が低いと、商品・サービスの供給が乏しくなります。ここでも競争が激化し、収益性が下がってしまうのです。

自社と競合各社とを比べて、知名度・ブランド・資金がどの程度あるかにかかってくるでしょう。
それに伴い、業界自体がある程度は潤っていることが望ましいといえます。

・新規参入者の脅威
どの業界にも、古参者がいれば新規参入者も存在します。
しかし、どちらが有利なのかは業界によって異なってきます。

もし異業種から参入しやすい場所であれば、新規参入者が次々と現れて価格競争が起こりやすくなります。その結果、収益性が下がる可能性があるのです。

一方で参入しにくい業界なら、一定の収益性を高く確保できるでしょう。新規参入者の分析ポイントは、市場の規模と参入者の技術やブランド力で判断できます。

・代替品の脅威
代替品とは、自社製品・サービスに代わる価値のあるものを指します。

例えば、今までは書籍や雑誌という紙媒体がメインでしたが、そこに電子書籍が登場しました。あるいはCDで音楽を聴く時代から、徐々に配信などに移行しつつあります。

これらのように、既存の業界の枠外からやって来る代替品の侵略を意味しています。

そこで、代替品と自社製品とはどのように質の違いがあり、コスト面での差があるのかなど分析します。今までよりも低価格で高品質な代替品は、業界全体をおびやかす脅威になると予想できます。

・売り手(サプライヤー)の交渉力という脅威
売り手(サプライヤー)と自社の関係性についてを表現したものです。

自社がメーカーであれば、原材料を供給するサプライヤーについてのことであり、販社メーカーなら、卸売業者との関係で収益性を見ることになります。

原材料の質や価格に公平さがあれば、自社との力関係に問題はないでしょう。

しかし、環境や自然災害なども含めて、質を保つのに価格高騰をせざるを得ないとなった場合、売り手のほうが力を持つことになります。

売り手の数やその時々の相場により、供給元を乗り換えるかどうかを判断することができます。

・買い手(顧客)の交渉力という脅威
顧客と消費者といった買い手と自社との力関係を意味します。競合が多く価格競争が激しい状態では、買い手に有利な市場になります。

買い手の交渉力が高い場合、既存の商品より高い品質を求められたり低価格を要求され収益性が低下してしまうので、売り手と買い手の力関係が適切ではない業界は新規事業の進出先としてあまり望ましいとは言えません。

解決 5Forces分析をどのように活かせばよいのか?

5Forces分析は、5つの脅威の側面から、企業の今後の展開を分析する手法です。

各5つの要素を単独で見ながら判断することもできますが、ポーター氏によるフレームワークに則って、売り手と買い手などの縦や横の複数の要素で考察することもできます。

では、5Forces分析のフレームワークをどのように活用すればよいのかについて紹介していきましょう。

・売り手と買い手の側面で分析する

業界内に競合他社が多数混在するとした場合、売り手と買い手の関係性で力は左右されます。

例えば、競合が多い商品・サービスは低価格化が進んでいき、買い手市場として発展しますが、その分だけ企業側の収益性は下がってしまいます。製品単価が低くなる現象は否めません。

また、売り手側からの原材料の支給が困難になれば、やはり企業側の収益は見込めなくなります。企業としては、材料調達できる売り手を選びやすい環境であり、かつ、参入する競合が少ない場所を目指した製品やサービスの開発が理想です。

・新規参入者や代替品の側面から分析する

新規参入のハードルが低い業界だとしたら、競合他社が次々と立ち上がりやすくなり、常に激しい競争の脅威にさらされてしまいます。自社の収益の取り分も小さくなりがちです。

また、自社製品と同等、もしくはそれ以上のスペックの代替品が登場した場合も、脅威が大きく、自社の収益は小さくなると予想されます。

参入しにくい特殊な業界でありつつ、代替品が登場しにくい高性能さやオンリーワンな商品開発ができれば、利益の安定が見込めるといえます。

結論 新しい試みのため5Forces分析を活かそう

5Forces分析は、あらゆる業界の競争環境や収益構造を研究するのに、最適なツールとして活用されています。

新商品開発・新事業参入の際、あるいは現在の自社がどのようなポジションに立っているのかを時折点検する意味でも役立つでしょう。

今やどのような業種・業界にも競合他社が存在し、利潤追求のため激化しています。

その環境は当然だと考えて、脅威を過剰に恐れることはありません。大切なのは、本質を理解するために見直しながら冷静な対応をすることです。


もし新製品などを作るのであれば、競合がいないフィールドで、特殊性のある技術やそのための材料を揃えやすい売り手を見つけ、早めな参入を試みるのが理想です。その際に5Forces分析は大いに役立つことでしょう。

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