【DMBOK】データアーキテクチャはデータの設計図
データアーキテクチャとはデータの設計図です。これを適切に定義しておくことによって組織のどのレベルのどの分野でも一貫したデータ管理を行い、データの価値を引き出し、保護することが可能になります。
データの設計図となるアーキテクチャ
組織は個人では管理しきれないほどの膨大なデータを扱います。それらは様々な分野やレベルで発生し、そのデータの流れは常に一方方向ではありません。
設計図が決まっていなければ、データマネジメントに大きな影響を及ぼします。
DMBOKでは、データアーキテクチャはエンタープライズ・データモデルとデータフローデザインの両方が含まれていなければならないとしています。
・エンタープライズ・データモデル
エンタープライズとは、「カテゴリー」や「市場」を意味しており、エンタープライズ・データモデルはそれらに依存しないデータモデルを意味しています。これによって組織のデータは一貫性をもって生成・利用されます。全てのプロジェクトレベルのデータモデルはこれに基づいていなければなりません。
・データフローデザイン
組織内でのデータの移動と処理を定義します。データがどこで作られ、どのように移動し、どのように使われ、最後には処理されるのか、再利用されるのか、これらを常に説明できるように記録します。
また、その設計図は組織に価値をもたらすような設計でなくてはなりません。
DMBOKでは以下の要件を定義し、維持することによってこれが達成できるとしています。
・組織内のデータの現状を定義する
・データとデータの構成要素に関する業務標準用語を作成する
・データアーキテクチャを企業戦略やビジネスアーキテクチャと整合させる
・戦略的なデータ要件を明確にする
・これらの要求を満たすハイレベルで統合された設計概要を書く
「データマネジメント知識体系ガイド 第二版」 DAMA International(2018)
監訳 DAMA日本支部 Metafind コンサルティング株式会社
P129
設計図があれば膨大なデータを管理できる
ここまでの記事でデータアーキテクチャがどういうものかが理解できたと思います。
次はデータアーキテクチャによって組織にもたらされる効果を2つ紹介していきます。
・データの保存と処理の要件
・企業の現在のデータ要件と長期データ要件を満たす構造や計画の立案
・データの保存と処理の要件
これがデータアーキテクチャによってもたらされる最たるものです。初めに紹介した通り、データアーキテクチャとは設計図です。設計図があればそれに従って作っていくのみです。
また、データアーキテクチャには組織のニーズが含まれてなければならないことにも注意が必要です。これが達成されていればニーズを満たしながら一貫したデータの管理が可能になります。
・企業の現在のデータ要件と長期データ要件を満たす構造や計画の立案
新規の組織や現在が理想的な状態である組織でも、データは常に生成され、その依存関係は複雑になっていきます。するとデータはすぐに管理が必要な状態に陥ります。そのため、DMBOKではロードマップを開発することを推奨しています。ロードマップは現状を把握し、将来を見据えて意思決定を行う手段を提供してくれます。
この2つはデータアーキテクチャを実践することによる主要成果として、DMBOKで挙げられています。
これら以外にも、新しいサービスを開拓する際の、データアーキテクチャの必要性についても言及しています。近年ではいずれのサービスにもデータは付きまとい、それらの管理を必要とするからです。データアーキテクチャが根付いた組織であれば新しい市場や技術にも積極的にチャレンジすることが可能になります。
データアーキテクチャの導入の注意点
データアーキテクチャを運用していく際の注意点は2つあります。
・データアーキテクチャは改善されていく必要がある。
・データアーキテクチャ文化と組織の文化の改変
これらについて詳しく紹介します。
・データアーキテクチャは改善されていく必要がある。
データアーキテクチャは常に管理され、改善され続ける必要があります。データアーキテクチャが改善されて行かなければ、データは複雑化し柔軟性を失います。この時点でデータアーキテクチャがもたらす主要成果の2つは失われ、組織はデータから価値を効率よく引き出すことができなくなってしまいます。
データアーキテクチャはデータマネジメントの基本でもあります。データマネジメントのサイクルに合わせて常に完全にしていく必要があるということを認識しておく必要があります。
・データアーキテクチャ文化と組織の文化の改変
データアーキテクチャは設計という性質上、組織をが横断的に協力する必要があります。しかし、組織の他分野の協力や様々なレベルの協力はアーキテクトではない人にとっては、理解しがたいものです。
そういった場合には、フレームワークを活用しましょう。DMBOKで示されているうちの一つをここで紹介します。
これはザックマンフレームワークと呼ばれるもので、もっともよく知られるエンタープライズ・アーキテクチャの一つです。これは、組織内の様々なタイプとレベルのアーキテクチャ要件を示しており、それぞれの立場からのアーキテクチャの見方を表しています。
こういったものを使用しながら、組織に対してアーキテクチャがどういうものであり、どのような価値を組織にもたらすのかを文化として定着させる必要があります。
まとめ
今回はDMBOKに基づいて、データアーキテクチャについて紹介しました。
今回、分かったことは、
・データアーキテクチャはデータの設計図である
・データアーキテクチャによって、ニーズを踏まえた一貫したデータ管理が可能になる
・データアーキテクチャは常に完全にされ続け、組織に文化として定着させる必要がある
ということです。
データアーキテクチャはデータマネジメントの基礎となる大事な領域です。それと同時に理解しずらい部分でもあります。DMBOKではワークフレームを使用してわかりやすく説明されているので、積極的に活用していきましょう。