ライバルに勝つ出店戦略とは?事例を交えて徹底解説

企業のオーナーが「店舗を出したい」「店を増やしたい」「今後数年で地方都市にも展開したい」などと考えた時に、どのような理由で出店場所を決めるのでしょうか?またどのような商材をどうやって売るのかという基本的なことは、どのように決定すればいいのでしょうか。出店で失敗しないためには、事前に戦略や計画を固めていかなければなりません。今回は、そんな店舗の出店時において最低限押さえておきたい戦略について、事例を交えながら解説していきます。
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導入 まずは出店戦略を立てる
店を出す際には、明確な指針の下で「出店戦略」を立てなくてはいけません。
「何を売るか(商品)」「どこで売るか(立地)」「誰が売るか(社員orパート)」「どんな売り方をするか(対面orセルフレジ)」「どのようなスケジュールで出店するか」「売上規模や店舗の規模はどうするか」「将来的な多店舗展開はどうするか」など、戦略や方針を固める必要があります。
こうしたポイントが不明瞭なままで見切り発車してしまうと、失敗につながるのは火を見るより明らかです。
新規出店にせよ、店舗の拡大にせよ、商品・立地・売り方などはもちろん、市場分析および自社のポジション分析をした上で現実的な予測を立てて計画に臨むことが成功へのファーストステップになります。
課題 店舗出店でよくある5つの失敗例
店舗出店でよくある失敗を5つ紹介します。
●来店客が少ない
出店場所を決める際には立地調査は基本です。そのエリアの特性(人口や属性、地域環境など)を調べ、店舗に訪れるターゲット顧客を予測する必要があります。いくら魅力的な商品を扱っていても、来店客が少なければ売上・利益は上がりません。また同エリアにどれ程競合他社はいるのか、なども事前に分析しましょう。
●見つけにくい
立地が悪いと、そもそも顧客が店舗を見つけられません。当然、来店数や来店機会が減少します。顧客を増やすためにマーケティング施策は必須です。オンライン(SNSやホームページ、ネット広告、口コミサイト)・オフライン(チラシ)を駆使して、認知度向上を図り、顧客にお店の存在を知ってもらいましょう。
●商材が合わない
そのエリアが単身世帯が多いのか、ファミリー層が多いのかなど、家族構成によって、消費の傾向は変わります。外食や中食を利用するユーザーが多いのか、スーパーで食材を買って自炊するのかなど、生活スタイルの見極めが必要になります。アパレル関係であれば、ハイブランドを好む層なのか、ファストファッションしか着ないのかなど、地域の特性に合った商材を選ばなくていけません。
●賃料が合わない
人の行き交いが多いエリアや駅の近くなど好立地であれば、来店客数の増加を期待できますが、その分賃料は割高です。売上規模や客単価にあった立地を選択しなければ、固定費の賃料が経営の首を絞めることになります。
●採用しにくい
人手不足が深刻化する中、小売業を中心に従業員の確保は年々難しくなっています。そもそも求人を出しても応募がないといったことも多く、仮に時給を上げても集まらないもしくは人件費の高騰による利益の減少につながります。
解決 出店で失敗しないための6つの戦略
それでは出店から軌道に乗せるためには何をポイントとしてみなければならないのでしょうか?
出店で失敗しないためのポイントを6つ解説します。
●店舗の大きさ
商材にもよりますが、どの程度の客数が見込めるのかによって、店舗の規模を決めましょう。また店舗の大きさによって賃料はもちろん、人件費や電気代などのコストも変わってきます。売上規模を勘案しつつ最適な店舗面積を計算しましょう。
●立地
顧客に見つけてもらえないような立地は、店舗経営にとって圧倒的に不利です。また駅から遠い立地も来店数に直接影響します。人の流れを分析し、郊外であってもアクセスしやすい場所に出店できるように、場所選びは細心の注意を払いましょう。
●人口(商圏)
事前の市場分析によって、商圏の規模や特性を把握しましょう。その際には前述した通り、どのような客層がどれだけ存在しているのか、売上予測も立てる必要があります。ターゲットにあった商材を選ぶことも重要です。
●コスト(賃料)
毎月の固定費の中で最も大きいのが賃料です。売上の多寡によらず、毎月かかってくるので、可能な限り安く抑えたいところです。立地との兼ね合いで、妥協しない物件を選びたいものです。
●競合の有無
商圏内に競合他社がどれだけ存在するのかを把握することも重要です。その中で、自社のポジションを見極め、優位性を発揮して差別化を図ることで、競争を勝ち抜かなければなりません。
●管理方法
店舗運営では、「売上」「人材」「在庫」「仕入」「接客」を管理する必要があります。これも事前にどのように管理するか決めておく必要があります。近年はクラウドサービスのように簡便に導入でき、安価なコストで利用できるものもあります。システムを構築できれば、比較的簡単に運用できます。接客に関しては、客商売の基本になるので、接客マニュアルを準備し事前研修を行うなど、クオリティを落とさないようにしっかりと管理しましょう。

結論 セブン-イレブン・ジャパンの出店戦略
店舗展開においては、大手を中心にさまざまな戦略を実施しています。たとえば特定のエリアに集中的に店舗展開することで、経営効率を向上させる「ドミナント戦略」などがあります。
ドミナント戦略の例としてよく挙げられるのがセブン-イレブン・ジャパンです。
同社では、配送効率を上げるためにドミナント戦略を採用。センターから各店舗への納品時間やルートを最適化することで、配送費の低減を実現しています。さらに、スーパーバイザーの各店への訪問も効率的に行えるので、時間や手間、人件費の削減にも役立っています。
また一定の地域内にセブン-イレブンを集中的に出店することで、顧客の目に触れる機会が増え、認知向上やイメージアップにもつながります。その他、エリア独自の工場の設置によって、新鮮かつ高品質な商品を短時間で届けるられるようになったといった効果も得られているといいます。
このように、成功する企業には明確な出店戦略があります。「店を出す」というのは言うは易く行うは難しです。出店で失敗しないように、入念に戦略を立案しましょう。