いい商品なだけでは普及しない?イノベーター理論を解説!

突然ですが、スマートフォンを持っていますか?
恐らくほとんどの人が『はい』と答えるでしょう。
中には2台以上持っている人もいるかもしれません。

総務省の令和2年度情報通信白書によると、世帯におけるスマホ普及率は83.4%であり、8割を超えてます。
2010年では9.7%なので、わずか10年で8倍以上になりました。
しかし実のところスマートフォンは1992年には存在していました。
つまり、最初の約20年で普及率は9.7%しか伸びなかったのです。

このような、商品普及率の特徴は、イノベーダー理論によって説明されます。
なのでイノベーター理論はマーケティングや事業開発と密接な関係があります。
今回はそんなイノベーター理論について解説していきます!

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導入 イノベーター理論とは?消費者は5つのタイプに分けられる

商品普及率と密接な関係があるイノベータ理論ですが、そもそもイノベーダー理論とは何でしょうか?

イノベーダー理論とは1962年に社会学者のエベレット・ロジャーズ教授(米国・スタンフォード大学)が提唱したイノベーション普及に関する理論です。

イノベーション理論では、消費者の商品購入への態度を、新しい商品に対する購入の早さ順に、以下の5つタイプに分類したものです。

1. イノベーター(革新者)
2. アーリーアダプター(初期採用層)
3. アーリーマジョリティ(前期追随層)
4. レイトマジョリティ(後期追随層)
5. ラガード(遅滞層)

タイプごとに異なる特徴を持っており、効果的にアピールするには、各タイプに合ったPRやマーケティングをすることが重要です。

課題 5つのタイプの特徴って何?特徴をつかんでマーケティングしよう!

それでは、イノベーター理論における5つのタイプについて解説していきます。

1. イノベーター(革新者)
市場全体の2.5%を占めています。
特徴としては、新しいものが好きで情報感度が高い、好奇心が高いなどがあります。
商品やサービスを最初期に利用するタイプであり、最新性に価値を感じます。

2. アーリーアダプター(初期採用層)
市場全体の13.5%を占めています。
特徴としては、業界や世間のトレンドに関する情報を常に収集していて、最新性だけではなく、メリットやベネフィットなども考慮します。
インフルエンサー、オピニオンリーダーとも呼ばれ、このタイプが採用するかしないかが、その後の普及率に大きく関わっています。

3. アーリーマジョリティ(前期追随層)
市場全体の34%を占めています。
特徴しては、新しいものを採用することにリスク・抵抗を感じる一方で、流行には遅れを取りたくないと考えるタイプです。
このタイプは前述のアーリーアダプターから大きな影響を受けます。
SNSでインフルエンサーが紹介している商品をほしがる10代・20代やテレビの紹介に影響を受ける人たちが、このタイプです。

4. レイトマジョリティ(後期追随層)
市場全体の34%を占めています。
特徴として、新しいものに対して懐疑的・抵抗的であり、採用側が多数となった際に始めて検討・採用をします。
このタイプに普及させるには、サービス・商品の普及率を向上させてアピールすることが大切です。

5. ラガード(遅滞層)
市場全体の16%を占めています。

特徴としては、新しいものに興味はなく、文化的・伝統的なものを好みます。

このタイプに普及させることは最も難しく、サービス・商品の歴史性、商品・サービスが定番になっていることなどをアピールするといいでしょう。

解決 普及16%率の理論ってどういうこと?16%を超えるまでが大変!

ではよくイノベーター理論と一緒に用いられる『普及率16%の理論』とは何なのでしょうか?

イノベーター理論を提唱したロジャーズ教授は、イノベーター(2.5%)とアーリーアダプター(13.5%)の割合を合計した市場普及率16%を超えると、商品やサービスの市場普及率が急上昇することに気がつきました。

つまり、アーリーアダプターへの普及が上手くいくのかいかないのか次第で、その後の商品普及率の上昇率は大きく変化するのです。
ロジャーズはこのことを『商品普及率16%の理論』として提唱しました。

なぜ市場普及率が16%を超えると急上昇するのかの理由は以下の2つが考えられます。

1.アーリーマジョリティーは、インフルエンサーのようなアーリーアダプターから大きな影響を受ける

2.アーリーアダプターは最新性だけではなく、商品のメリットや価値までを考えているので、アーリーアダプターに普及するということは、その商品やサービスにメリットや価値があるということになる

結論 良い商品なだけでは普及しない?タイプに合わせたアピールが大切!

このように、商品・サービスの普及率とイノベーター理論を組み合わせて考えることで、自社の商品・サービスはどのタイプまで普及していて、これからどのタイプを攻略しなければならないのかが分かります。

また、タイプごとに特徴がことなるので、その特徴に合わせたアピールをすることが効果的なPRになるでしょう。

しかしここで一点注意する必要があります。それは、アーリーアダプターとアーリーマジョリティーとの間には大きなギャップが存在することです。

理由は、前者は最新性・メリット・価値を重視する一方で、後者は普及率・安心・歴史性を重視するのです。

なので、『いい商品・サービスを作れば普及率は高まる』と考えることは危険で、普及率を高めるにはタイプに合わせた効果的な訴求・アピールが大切です。

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