テレワークアシスタント導入・活用がうまくいかない会社の6つの理由と解決法
2020年、コロナが流行し、緊急事態宣言下においてテレワークを実施した会社は全国で約55%と言われています。
そして、個々の働き方、経営者の意識やオフィスのあり方が大きく変化しました。こういった背景から、直接雇用せずとも業務を代行してくれる “テレワークアシスタントサービス” を提供する会社も増えました。すでにテレワークアシスタントの導入や検討をしている会社もあると思います。
しかし、テレワークアシスタントサービス導入で業務の効率化ができ、社員の残業も減ったという会社もあれば、中々テレワークアシスタントへ業務移行できない、そもそも導入に関して社員が懸念を示している、といった会社も少なくありません。
当社はコロナ前から、テレワークアシスタントサービスを導入していました。当初は業務の移行がうまくいかず、契約時間を使いきれずコストばかりかさんでいました。そこで進まない理由を洗い出すことにしました。すると、ネックとなる大きな課題が浮上した。これらを解決しない限り、テレワークアシスタントへの業務移行は難しいと感じ、必死で課題解決に取り組みました。その結果、現在では月間約10日の業務をテレワークアシスタントへ移行(一部RPA可)し、社員全体の残業代を約80時間カットすることに成功しました! また、テレワークアシスタントに移行していた業務のRPA化(一部)も進み、結果的に大幅なコストカットに繋がっています。
今回は当社がテレワークアシスタントサービスを導入・活用にあたり、直面した課題と解決法をご紹介したいと思います。
目次
自分の仕事が奪われる⁉ 社員の心理的恐怖ゆえのネック
「自分の仕事が奪われてしまうのではないか?」という社員の心理的恐怖が、テレワークアシスタント化する際にネックになっているという話をよく耳にします。特に属人化している業務は担当者がテレワークアシスタントにレクチャーしないと始まらないので、担当者に拒まれてしまうと移行ができません。
これはよくある話の一例です。
ある日、突然、Aさんは上司から「Aさんの業務をテレワークアシスタントに移行したい」と言われました。Aさんは自分しか把握できていない業務を他者に渡すということに「自分の仕事が奪われるのではないか? クビになるのではないか?」と疑心暗鬼に陥ってしまいました。Aさんは自分を守るために色々と理由をつけ「テレワークアシスタントにお願いするのは難しいと思います」と上司に伝えます。ここで上司は追い打ちをかけるように「ちゃんと業務のタスク分解はしたの? 一部でもテレワークアシスタントにお願いできるはずだ」と言ってしまいます。Aさんは意固地になってしまい、テレワークアシスタント化を拒否するようになり、一向に業務を教えてくれようとしてくれませんでした。
こうなると、テレワークアシスタント化は厳しいものになってしまいます。また、会社として“Aさんしか把握できていない業務”が存在するのはリスクでしかありません。考えたくないですがAさんが急に倒れてしまった場合、だれもその業務を把握していないのであれば当然その業務は止まってしまいます。
解決法
まず、Aさんの業務をテレワークアシスタントに移行すると伝えるときは、同時に他のコア業務をふってあげることが大事です。社員にとってはセンシティブな問題ですので丁寧に話してあげることが肝になります。会社としてもAさんに不信感を与えないように、クビにしたいからテレワークアシスタント化を進めるのではなく、業務の効率化や社員の業務負荷を下げたいという会社側の意図を話した方がAさんの納得度も上がると思います。それでも納得いかない様子なら、Aさんにテレワークアシスタントのプロジェクトに参加してもらい中心的なポジションを与えることをお勧めします。プロジェクトの中心的なポジションを与えることで、Aさんもどういう方法なら社内業務をテレワークアシスタント化できるだろうと考えるようになるからです。テレワークアシスタント化を考えることで、自身の業務にも目を向け、テレワークアシスタントは仕事を奪う存在ではなく、自身の負荷を下げ業務効率を上げてくれる存在だと気付くはずです。
テレワークアシスタントが何の業務を担ってくれるのかわからない
これがわからないと、業務をふることができません。
解決法
当社がテレワークアシスタント提供会社3社と面談した結果、基本的にはテレワークアシスタントはマニュアル化できる業務に対しては、3社とも対応可能でした。一方で対応不可業務は、3社とも “考える作業・ジャッチが必要な作業・タイムラグがない作業・コアなシステムに入って行う作業” でした。
また、3社とも良い点と物足りないと感じる点がありました。社内でタスク分解をし、工数が多い業務を洗いだし、業務のマッチ度が高い会社を選びましょう。
タスク分解ができない!
自分の仕事の洗い出しができない人は多いです。しかし、これは難しくて面倒なことです。面倒くさいことは社員がやりたがらなくて当たり前です。けれど、タスク分解をキチンとやらないと、どの業務をテレワークアシスタントに行ってもらうのかが見えてきません。
解決法
タスク分解を簡単に考えてもらいましょう。顔を洗う時、蛇口をひねり、顔を濡らし、洗顔フォームを手に取り、蓋を開け、泡立て、顔を洗う、という順番になると思います。
業務だと難しく考えてしまいがちです。とにかく箇条書きでもいいのでどんなことをしているのか書いてもらうといいでしょう。それでも進まない場合は、サポート役を立てて一緒にホワイトボードなどに書いて整理してあげましょう。
テレワークアシスタントに頼める仕事がないと思い込み、業務移行が進まない
「自身が行っている業務はテレワークアシスタントにできっこない」と端から思い込んでしまっているケースがあります。それは、テレワークアシスタントの能力が低いと思ってしまっているからです。
解決法
テレワークアシスタントにも色々な方がいます。得意不得意も存在します。それらは決して能力の問題だけではないのです。お願いしたい業務をわかりやすく説明できるか? が大きな課題です。そのためには、自身が得意な業務から移行してみてください。理由は自身が一番理解できている業務なので、説明しやすいからです。
自分でやった方が早い問題
テレワークアシスタントは常にPCに張り付いているわけではありません。そうしたことから社員は「結局、自分でやる方が早い」となりがちです。
解決法
確かに、1時間以内に完了してほしい突発的なことは自身で手を動かした方が早いといえます。しかし、その他のルーティンワークはいかがでしょう? 中長期でみたらテレワークアシスタントにお願いした方が早いといえます。特にクライアントワークに携わっている方は先方の要望や作業の進み具合によって、ルーティンワークを後回しにせざる得ないことがあります。しかし、ルーティンワークはテレワークアシスタントに1回レクチャーをしておけば、自身が手を動かさなくても決まった日時にお願いしていたものが上がってきます。自身がタスクに追われルーティンワークが遅れるということがないのです。
忙しくて移行ができない
忙しいから移行ができない。これも自分でやった方が早い問題に似ています。社員としては、テレワークアシスタントへの移行業務より、他の業務の優先度が高いと思っているのでテレワークアシスタントの移行に時間を割こうと考えません。
解決法
サポートしてあげることが大事です。まず、テレワークアシスタント化を担当している人がヒアリングしてあげ、難易度が低い業務からテレワークアシスタントに移行することを勧めます。忙しい人こそ移行が出来て楽になったと感じたら、あれもこれもお願いしたくなるはずです。そうなるまでの、初めの一歩はサポートをしてあげるとよいです。
まとめ
■テレワークアシスタント導入する際は、社員が誤解しないように、テレワークアシスタントは仕事を奪う存在ではなく、業務の効率化や社員の業務負荷を下げたいという会社側の意図を話し、同時に他のコア業務をふってあげること
■タスク分解をし、テレワークアシスタントに移行できそうなタスクを洗い出す
■業務のマッチ度が高い、テレワークアシスタント提供会社を選ぶ
■テレワークアシスタントへの理解を深める